【12月3日付社説】福島市の中核市移行/ビジョンと必要性を明確に

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 福島市が中核市になれば、市民にとって、どんなメリットやデメリットがあり、市はどんな展望を持っているのか。市民に説明を尽くさなければならない。

 福島市の小林香市長がおととい開かれた市議会全員協議会で、2017(平成29)年4月を目指していた中核市への移行は困難との見方を示した。

 移行に伴う財政負担などについて市議会の理解が得られず、法律で開設が求められる市保健所の整備費や、これに関する職員採用が間に合わないと判断した。

 移行時期については「今後、見極める」としているが、市議会には「拙速」を指摘する声もある。これらの声も踏まえながら、移行について市民の関心を高め理解を得る努力を重ねてもらいたい。

 中核市は、地方分権を進めるための都市制度で全国に45ある。以前は「30万人以上」だった人口要件が、今年4月から「20万人以上」に緩和され、人口28万人余の福島市も要件が満たされた。県内では郡山、いわき両市に次ぎ3番目の中核市を目指している。

 福島市は中核市移行の大きな効果として、県と市の2段階で行っている許認可事務を市が一元的に行うことで、事務処理時間の短縮や効率化が図られるとしている。

 例えば、保健所の業務や身体障害者手帳の交付、保育所・認定こども園・特別養護老人ホームの設置認可など約2千の事務権限が移譲され、「きめ細かな市民サービスの提供」が可能になるとする。

 ではデメリットはどうなのか。全員協議会で市は、移行に伴い新たに必要となる職員数は72人とした。さらに移行で年間約1千万円の黒字になると説明したが、移行の初期経費の額は示さなかった。先行自治体では保健所の専門職員の確保も課題となっている。メリットとデメリット双方をより明確にしなければ理解は深まらない。

 市は中核市への移行後、国が地方創生の一環として打ち出している「連携中枢都市圏」の中心市になることを見据えている。

 連携中枢都市圏は、人口20万人以上の中心市と周辺市町村が連携協約を結び、雇用や教育、医療といった生活環境を整えて東京など三大都市圏への人口流出を防ぐという構想だ。今夏には近隣市町村とともに研修会も開いた。

 県都として、中核市として、さらには連携中枢都市圏の中心市として、どのようなまちの姿を目指し、どのようにリーダーシップを発揮しようとしているのか。しっかりとしたビジョンがなければ、人口減少時代は乗り切れない。