【12月8日付社説】植樹祭会場決定/緑豊かな古里再生の弾みに

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた本県の森林環境を再生させ緑豊かな古里を取り戻す契機としたい。

 2018(平成30)年春に本県で開かれる第69回全国植樹祭のメーン会場が、南相馬市原町区雫(しどけ)地区に決まった。

 主催する県と国土緑化推進機構が、津波で流された海岸防災林や農地の復旧の様子を見てもらい、復興への歩みや震災支援への感謝の気持ちを発信したい―との理由から同地区に決めた。

 震災以降に被災県で植樹祭が開かれるのは本県が初という意義は大きい。震災では津波によって沿岸部の広い範囲で緑が失われた。潮風から沿岸の住家や農地を守るはずの防災林も流失が相次ぎ、県によると、県内では民有林だけで6割の海岸防災林が流された。

 一方で、防災林で津波の被害が軽減された地域もあるという。海岸防災林の復旧を急ぎ、緑化を通して国土を守るという開催意義にふさわしい植樹祭にしたい。

 原発事故で影響を受けた森林再生の弾みにすることも本県にとっては重要な開催意義になる。

 放射性物質による森林汚染が広がり、キノコや山菜の出荷制限が相次いだ。伐採や下草刈りなどの森林活動が滞り、林業の衰退や適正な管理ができずに森林の荒廃が懸念される状況だ。

 本県は森林面積が全国で4番目に広い「森林県」でもある。森林と県民生活との関わりは深く、県は06年に森林環境税を導入し、森林の保全事業に取り組んできた。

 環境学習の場としても森林を活用してきた。こうした森林と県民との関わりを取り戻し、再び森林に親しめる環境に再生するという固い決意を、植樹祭で明確にアピールする必要がある。

 そのためには、植樹祭の開催までに、除染や森林再生の取り組みを加速させることが重要だ。

 全国植樹祭の本県開催は、震災前を通しては1970(昭和45)年に猪苗代町の磐梯山麓をメーン会場に開催されて以来、48年ぶり2度目となる。

 県の実行委員会はメーン会場のほか、大玉村のふくしま県民の森にサブの会場を設置し、福島、郡山、会津若松、白河の4市にPR会場を設置する予定だ。

 メーン会場の式典には全国から約1万1000人、サブやPR会場の関連行事を含めると約2万5000人の参加を見込む。

 開催準備では今後、テーマやシンボルマーク、基本計画が決まる。森林の再生・保全の重要性を再認識する機運を盛り上げたい。