【12月9日付社説】就活6月解禁決定/採用の方法見直し多様化を

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 そもそも企業の採用を一律のルールで縛ることには疑問も多い。採用の在り方を見直し、多様化を進めるべきだ。

 経団連は2017年春に卒業予定の大学生の就職活動について、企業の面接を解禁する時期を6月1日とすることを正式に決めた。

 昨年まで4月解禁だったのを、ことしは8月に繰り下げたばかりで2年連続の見直しとなる。

 会社説明会の開始は、ことしと同じ3月で、面接など選考活動の解禁を2力月前倒しして6月とした。採用内定を出せる時期はこれまで通り10月1日とする。

 経団連が16年卒の就活日程を繰り下げたのは、学業優先を理由とする政府の繰り下げ要請を受け入れたためだ。面接の解禁が8月であれば、学業への影響を最小限に抑えられるという計算だったが、思惑通りにはならず、学生、企業の双方から不満が高まった。新ルールは失敗に終わったといえる。

 企業業績の改善で昨年に続き、売り手市場となったため、早めに学生に接触する企業が増え、8月より前に内定、内々定を出す企業が少なくなかった。一方、ルール通り8月から選考活動を始める企業もあり、就職・採用活動がかえって長期化したという批判が多い。

 経団連の調査では、96%の企業がことしの就活日程は学生に「悪影響があった」と回答。榊原定征会長も「学業に影響が及んでいるのは明らかだ」と話すなど経団連も失敗を認めた形だ。就活日程の再変更はやむを得まい。

 しかし面接の解禁を6月に前倒ししても効果には疑問符が付く。6月は授業期間の真っ最中であり、学業に支障が出ることを心配する声が多い。新日程がうまくいかなければ3年連続で日程が見直されるかもしれない。学生にとってはたまったものではない。場当たり的な対応はやめ、採用の在り方を根本から考える必要がある。

 新規学卒者の一括採用は、終身雇用などの日本型雇用慣行の下で確立したが、その慣行が揺らいでいる。画一的な採用方法はもはや時代の変化に対応できなくなりつつあるのではないか。採用時期の分散化、既卒者の採用の拡大、年齢を問わない通年採用の本格化など、採用の多様化を検討し、できるものから取り組むべきだ。

 中小企業に採用時期の制約はない。しかし学生の目は大企業に向きがちだ。大企業に伍(ご)して優秀な人材を確保するために、インターンシップ(就業体験)を積極的に取り入れたり、地元企業による合同説明会を開くなどして、自社の魅力を訴える機会を増やしたい。