【12月10日付社説】双葉郡の医療/帰還に向け診療機能再生を

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 東京電力福島第1原発事故で避難している双葉郡の町村にとっては、避難指示の解除を見据えて、住民に身近な医療体制をいち早く整えることが重要だ。

 全町避難が続く富岡町は、町内の復興拠点に町立の仮設診療所を新設する計画を固めた。

 同じ浪江町も、役場本庁舎内に置く応急の仮設診療所を移転し、建物を新しく建てる方針だ。

 いずれも、2017(平成29)年春を目標としている帰町開始へ備えるためだ。

 復興庁などの避難住民へのアンケートでは、医療の再開が、帰還の条件の上位に挙がる。医療体制の立て直しは、古里に戻りたいと願う住民の帰還を後押しし、避難区域の復興の要ともなる。

 富岡町が新設する診療所は、来年10月の開所を予定している。町が帰還開始の目標とする17年4月の半年前に開所することで、一時帰宅や長期宿泊する住民が受診できるようにする考えだ。

 診療科は内科で、原発事故前に町内で診療を続けてきた民間病院の医師や看護師ら9人が非常勤として勤務する。

 避難区域では休止に追い込まれた民間病院が避難指示の解除に伴って診療を再開しようとしても、住民の帰還が進まなければ経営的に成り立たないとの不安がある。

 住民の帰還に必要な医療体制の再建を行政が担い、併せて民間医療の再起につなげる。そんな復興の相乗効果に期待したい。

 仮設診療所は各種の検査設備を整え、当初は週3日を診察日とするが、17年4月からは週5日程度に拡大する。町は国の福島再生加速化交付金などを整備費用に充てる考えだ。

 一方、浪江町の計画は、町が目指す17年3月の帰町開始に合わせ仮設診療所が入る建物を新たに造り、帰還した住民の診療に対応する。町は医師1人、看護師3人程度を常駐させたい考えで、人選を進めている。

 ただ、双葉郡の町村からは、医療人材の不足の深刻さがかねて指摘されている。

 帰還困難区域を除く避難区域では、17年3月には一斉に避難指示が解除されることになり、これらの地域の医療の再生に向けては、国や県の手厚い支援が必要だ。

 避難している双葉郡の町村では、葛尾村でも来年4月の帰村目標に合わせて診療所の再開が予定されている。

 双葉郡の医療を再生するためには、身近な診療機能とともに、手術や入院が可能な2次医療体制の整備も具体化を急ぐ必要がある。