【12月12日付社説】除染装備品の投棄/不安解消へ指導を徹底せよ 

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 モラルや作業管理の不徹底という側面もあろうが、行政の指導力不足と言わざるを得ない。

 除染作業で使われる物が、生活で出るごみと同じように捨てられる事態がまた明らかになった。

 福島市の住宅街でごみ収集場に除染作業用のヘルメットや長靴などが捨てられていたことが分かった。記載されていた企業名などから南相馬市の国直轄除染で使用された装備品とみられる。

 ごみ収集場は住民が家庭のごみを持ち寄る場所だ。そこに除染作業用の装備品が投棄されるというのは、普段の生活では考えられない事態だろう。放射性物質に汚染されているかどうかも分からず、住民が不安を抱くのは当然だ。どんな経緯で持ち込まれたのか、不審感も募るに違いない。

 県内各地で確認されたケースは除染作業用のマスクや手袋がコンビニのごみ箱に捨てられていたり海岸に投棄されていたことが判明している。いずれも除染の関係者が捨てたのは明らかだ。

 除染の現場事務所には大抵の場合、廃棄するマスクや手袋など装備品の一時保管場所があり通常のごみとは分別されている。

 しかし県内外を頻繁に移動する業者や作業員の一部に、移動の途中でコンビニのごみ箱に捨てていくケースがあると聞く。

 こうした実態を、たばこの吸い殻や弁当の包装などが道端に捨てられるのと同じようなモラルの問題として片付けてはならない。

 除染装備品は使用後に放射線量の計測が義務付けられている。1平方センチ当たり40ベクレルを超えると地域外への持ち出しが禁じられ、剥ぎ取った汚染土壌と同じように中間貯蔵施設で保管することになる。

 問題は、それ以下の場合には明確な決まりがないことだ。除染を発注する環境省や作業安全を監督する厚生労働省などが、受注業者に対し一般のごみと同じように投棄しないよう指導しているが、浸透し切れていないのが現状だ。

 除染作業が元請けと複数の下請けの多重の請負構造にあることも無視できない。共同企業体が受注し実際の作業に当たるのが5次請けの業者というケースもある。

 国の直轄除染だけでも1日約1万9千人が作業に当たる。自治体発注分もある。行政と業者がともに、どう指導を浸透させるか知恵を絞る必要がある。

 原発事故で汚染された地域の環境を回復するための除染のはずだ。住民が抱く期待や作業員への感謝の気持ちは大きい。一部でも住民に不安を与えるような事態をなくすよう求めたい。