【12月17日付社説】指定廃棄物/各県処理の原則再確認せよ

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 飯舘村民にとっても県民にとっても到底受け入れられない話だ。

 宮城県加美町の町長が、同県で発生した指定廃棄物を、飯舘村の仮設焼却施設で集約処理するよう環境省に提案した。

 宮城県内で指定廃棄物の処分場建設候補地とされた加美町と栗原市、大和町の3市町が、候補地返上を表明した会議での提案だ。

 東京電力福島第1原発事故の放射性物質を含む指定廃棄物をめぐっては、発生県内で処理するというのが、放射性物質汚染対処特措法に基づく国の基本方針だ。

 宮城県内では、環境省が候補地の絞り込みに向けた現地調査に入れない状況が続いてきた。

 処理施設を受け入れるか、受け入れないかというのは、それぞれの地域の判断になるだろう。

 だが、受け入れられない代わりに本県内での処理を国に頼むように映る姿勢は理解に苦しむ。

 指定廃棄物を本県内に集約するよう求める声は、他県からも上がってはいる。栃木県の候補地返上を国に申し入れた塩谷町の町長などは、かねて第1原発周辺への集約を訴えてきた。

 今回は原発から離れている飯舘村の施設と名指しされての集約論だ。加美町によると、町長の提案は、飯舘村の施設を活用すれば、宮城県内に税金で新たに処分場を造らなくても、その分の費用を本県復興に振り分けることができるとの考えのようだ。

 飯舘村の施設は国が建設し、本県内の5市町の指定廃棄物も処理する。村が広域処理を受け入れたのは「避難を受け入れてもらった恩を少しでも返したい」(菅野典雄村長)との思いからだ。

 それでも、村は施設の安全性や将来の帰還の妨げになるとの村民の不安に向き合い、時間をかけて受け入れの合意につなげた。

 村民はいまもなお避難を強いられている。地方自治の危機にひんしている村に他の自治体の論理が持ち込まれていいはずがない。

 それは富岡町と楢葉町が指定廃棄物の最終処分を容認したこと、大熊町と双葉町が除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設を受け入れたことにも言えることだ。

 いずれの町村も原発事故からの本県復興に必要な施設だと、苦渋の判断をしたからだ。町村と国の間に入った県の判断もあった。

 他県では「福島集約」を求めるために、国に発生県の処理を定めた特措法の基本方針の見直しを迫る声さえ出ている。

 指定廃棄物の処理に責任を追う国は、基本方針をあらためて確認し、堅持しなければならない。