【12月18日付社説】夫婦の同姓「合憲」/国民的な議論深める契機に

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 夫婦や家族の形が多様化した今の時代にふさわしい判決といえるのか。今回の判決を、国民的な議論を深める契機にしたい。

 夫婦が同じ姓を名乗ると定め、別姓を認めていない民法の規定について、最高裁大法廷は「合憲」とする初の憲法判断を示した。

 夫婦の姓は明治時代、家の姓を名乗ると定められ、戦後の民法改正で夫婦どちらかの姓を名乗ることになった。しかし、厚生労働省の調査によると、2014年に結婚した夫婦の約96%が夫の姓を名乗り、妻の改姓が当たり前のようになっている。

 働く女性にとって結婚して名前を変えるのは、それまでキャリアを積んできた「自分」を失うにも等しいという。職場で旧姓を使ったり、事実婚を選んだりする人もいるが、運転免許証の取得や銀行口座の開設などの手続きでは戸籍名を求められる。また事実婚のままでは相続人にもなれず、子どもが生まれたときに共同で親権を持つこともできない。

 女性の社会進出などを背景に、家族の姿や価値観は多様化しており、民法の規定は時代とのずれが大きくなっている。さまざまな問題が起きているのも事実であり、国民の賛否も分かれている。

 最高裁は、夫婦同姓を合憲としながらも、「選択的別姓」の制度に合理性がないとはいえず、この種の制度のあり方は、国会で論ぜられ、判断すべき事柄にほかならない―と判決で述べている。国会はこの指摘を重く受け止めなければならない。

 裁判官15人のうち10人が多数意見だが、女性裁判官3人全員が違憲だとして反対意見を述べたことにも注目したい。

 最高裁は同じ日、離婚後、女性だけ再婚を6カ月間禁止する民法の規定について「再婚禁止期間のうち100日を超える部分は違憲」とする判断を示した。

 再婚禁止期間は、生まれた子の父親は誰かという混乱を避けるために設けられたが、鑑定の精度が高まった今、女性だけ再婚を半年待たされるのは平等とは言えまい。速やかな法改正につなげたい。

 法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓の導入や再婚禁止期間の短縮などを柱とする民法改正要綱を答申した。しかし、保守系議員らが反対し、改正案は国会に提出されなかった。

 それから、もう20年がすぎようとしている。この間、世界中で法改正が進み、日本だけが古い制度を維持している特別な状況にある。国会には国民が納得できるような時代に即した議論を求めたい。