【12月22日付社説】政府機関の移転/地方創生へ覚悟が見えない

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 地方創生を本気で進めようというのであれば、お茶を濁すような対応で済ませてはならない。

 政府は、中央省庁や国の研究機関などの地方移転について、本県など42道府県が誘致を表明していた計69機関のうち34の機関に絞って検討を進めることを決めた。

 地方からの移転要望が強かった国や独立行政法人の研究機関・研修施設については22機関が対象で、その大半について一部移転の検討を進めるとした。

 しかし詳しく中身を見れば、実際には施設を移さず、地元企業と共同研究を進める事例も含まれている。これを「一部移転」として位置づけるのは対象の水増しにほかならず、本気度が疑われよう。

 政府は今年3月、自治体に提案を募集した際、施設を地方に移すことを前提に、土地や建物を確保する見通しなどを示すよう求めている。しかし省庁や独立行政法人は「移転費用が膨大になる」などと反発して協議は難航した。

 このため苦肉の策として東京などの研究機関の職員が在籍したまま、地方の企業や大学の研究員を兼務して共同研究に取り組むことも一部移転と扱う代替案が浮上した。共同研究の推進は地方の期待も大きく実現を図るべきだが、本来目指していたものとは別物だ。

 政府は、見せかけの「移転」を増やすようなことはせず、少しでも多く、実際に、組織や人を地方に動かすための努力をすべきだ。

 東京は、治安の良さなどで「世界一安全な都市」(英調査会社)に選ばれる一方で、スイスの再保険会社の「世界自然災害危険都市ランキング」では、地震など自然災害のリスクが高いとして横浜とともに「世界一危険な都市」として報告されている。

 政府機関の移転は、地方創生だけでなく、首都直下地震に備える危機管理の面からみても国の戦略として位置づけるべき課題であることを忘れてはならない。

 本県は4機関8部門の移転を提案したが、今回の絞り込みでは福島・国際研究産業都市構想の実現に向けた「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の支所新設の1機関3部門だけが入った。

 本県が要望している移転対象は、どれも復興に必要な機関ばかりだ。政府には残る機関についての再検討を、県にはより多くの機関の誘致実現へ向けて粘り強く協議を続けるよう求めたい。

 政府は来年3月末までに移転対象の機関と移転先を正式決定する方針だ。東京一極集中是正と地方創生への決意と覚悟を目に見える形で示してもらいたい。