【12月24日付社説】新国立競技場/復興五輪発信の場に育てよ

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 仕切り直しとなった2020年東京五輪・パラリンピックのシンボル、新国立競技場の建設デザインが決まった。19年11月末の完成を目指す。二度とつまずくようなことがあってはならない。

 安倍晋三首相が白紙撤回を表明した当初の計画は、総工費が2500億円を超える見通しとなり、あまりにも高額だと国民から強い批判を受けた。約70メートルもの高さがあり、緑の多い周辺地区の景観を損なうとの反対意見も多かった。

 新計画は建設費が約1500億円で、高さは50メートル弱と、まずまず良識的な規模に収まったが、過去の五輪スタジアムの建設費と比べればかなり高額だ。前計画のような建設費の膨張を招かぬよう政府と、事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)は、コストを抑えつつ、工夫を重ね、将来にわたって国際的にも手本となるような競技場を実現してほしい。

 JSCは今回、建設業者選定の手続きで新しい趣向を12月に入ってから相次いで打ち出した。

 前計画が、さまざまな点で配慮を欠き、市民の懸念の声に耳を貸さず突っ走った失敗を反省して、教訓としたのは評価できる。

 しかし、元五輪選手や関係者の声を聴いたのは技術提案書が既に出来上がってからだった。この声をどう反映したのか。早い時点で詳しい知識を持つ国際競技連盟の専門家らを招き、経験や知識に耳を澄ますべきだった。

 新しいデザインは「木と緑のスタジアム」をコンセプトにした。屋根は木材と鉄骨のハイブリッドで、木の持つ温かな質感を生かし「日本らしさ」を演出した。

 木材は加圧処理を施し、強度や耐久性を高めた国産のスギやカラマツの集成材を使う予定だ。

 安倍首相は東京五輪について国会で、「東日本大震災の復興五輪として、復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信したい」と述べている。新国立競技場は、その発信の場としてうってつけだ。建設に当たっては、全国4位の森林面積を誇る本県の県産材をできるだけ多く採用することを望みたい。

 高額な費用をかけて建設する新国立競技場は言うまでもなく、できるだけ長く使用しなければならない。半世紀を超える期間、スポーツやコンサート会場として有効に利用することが使命になる。

 新国立競技場は、スポーツ文化の発展を受け止め、さらに発展させる跳躍台としての可能性を持つ器だ。選手にとっても、観衆にとっても、居心地のいい、楽しい空間になるよう、アイデアに磨きをかけてもらいたい。