【12月25日付社説】来年度政府予算案/腰を据えて復興を形に表せ

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から来年3月で5年になる。政府は1人でも多くの被災住民が復興を実感できるよう腰を据えて取り組むことが重要だ。

 政府が閣議決定した2016年度予算案では、復興特別会計に3兆2469億円が計上された。

 政府が10年間としている震災からの復興期間は、復興事業に全額国費を充ててきた前半の集中復興期間が15年度で終了し、16年度から後半に入る。

 復興との関連性が薄いとされる事業には地元負担が求められ、本県と宮城、岩手の被災3県の負担額は約80億円になる見通しだ。

 復興の進み具合は被災地ごとにさまざまだ。農業や観光業などを中心に風評被害も残る。遅れていたり、必要とされる事業には、しっかりと予算を確保し、復興の加速化を図らなければならない。

 復興特別会計のうち、原発事故からの復興・再生には、15年度当初を約2500億円上回る1兆248億円を充てた。

 政府は17年3月までに帰還困難区域を除いて避難指示を解除する方針を掲げている。帰還する住民の生活再建や産業再生が急務だ。

 政府は320億円を計上し、避難指示が出された県内12市町村で企業や工場、商店の新増設を促すための新たな補助金を創設する。

 雇用の創出や帰還住民の自立を支えていく取り組みとして活用していくことが求められる。

 長期的には、浜通りにロボットや再生可能エネルギー、廃炉関連の産業集積を目指す「福島・国際研究産業都市構想」を前に進めることが肝要だ。

 構想に基づく共同研究施設の整備などに145億円を計上した。研究成果を実用化する企業の取り組みを支援する事業にも予算を付け、新産業として根付かせたい。

 こうした復興事業の足かせになりかねない除染も急がねばならない。政府は除染予算を1000億円以上増額し、5249億円とした。16年度内の終了を目指す方針だ。

 県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設、指定廃棄物を受け入れる管理型処分場の整備も本格化する必要がある。

 政府の来年度予算案は、一般会計の歳出総額が過去最大の96兆7218億円に膨らんだ。

 財政健全化計画の初年度でありながら、歳出の抑制に努めたとは言い難い。国と地方の借金残高は過去最悪の1062兆円に積み上がる見通しだ。

 復興事業にも厳しい目が向けられることを肝に銘じ復興を形に表していかなければならない。