【12月26日付社説】環境省と貯蔵施設/もっと前面に立ち推進せよ

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 除染や放射性物質を含む廃棄物処理に責任を負うのが環境省だ。

 司令塔の役割に疑問符が付く対応が目立つようでは、東京電力福島第1原発事故からの復興が進まないと肝に銘じるべきだ。

 県内の除染で出た汚染土壌などを30年間保管する中間貯蔵施設の建設をめぐり、県は来年度、職員を環境省に派遣する。

 同省が取り組んでいる施設の用地交渉が難航している事態を打開するためだ。内堀雅雄知事が今月14日の県議会で議員の代表質問に答えた格好だ。

 県は交渉に詳しい土木部職員らを複数派遣し、福島環境再生事務所(福島市)などで地権者説明や土地の評価額算定作業の支援に充てることを想定している。

 県が中間貯蔵施設の建設を容認したのは昨年9月。それから1年以上が過ぎても、契約にこぎ着けたのは、約2400人とされる全地権者の1%に満たない。

 交渉が進まない理由としては、連絡がとれていない地権者が1000人以上いるほか、評価額の算定に時間がかかるとの理由からだ。

 評価額算定のための現地調査を受け入れた地権者からは「回答がない」と、環境省の作業の遅れに批判の声が上がっている。

 先祖伝来の土地を手放す決断や長期にわたり自分の土地に戻れない覚悟を迫られる地権者への対応としては、不誠実と言われてもしかたがない。

 交渉の遅れを問題視する指摘は与党内からも上がり始めた。

 今月、自民党の環境部会長に就いた森雅子参院議員(福島選挙区)は、党内に特別チームをつくり環境省に用地交渉を進めるよう働き掛けを強める考えを示した。

 中間貯蔵施設には県内43の市町村から除染廃棄物を搬入する計画だ。試験的な搬入は始まっているが、本体施設ができなければ、市町村での仮置きがそれだけ長引くことになる。

 国が当初3年程度としていた仮置き期間は過ぎている。優先的に搬入するよう要望する自治体も出ている。約束の反故(ほご)を市町村がかぶる事態はいち早く解消されなければならない。

 それにしては、丸川珠代環境相の姿が見えない。丸川氏は10月の就任会見で、中間貯蔵施設の整備をめぐり「しっかりと対話することで進めていきたい」と、地元理解に努める姿勢を示していた。

 それなのにこれまで施設の視察や知事、大熊、双葉両町長との会談にとどまったままだ。県民を前にして、国の考えを説明する責任がある。