【12月31日付社説】2015年回顧/希望の芽を大きく育てよう

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 「戦後70年」の節目となった2015(平成27)年も、きょう1日を残すだけとなった。

 県内は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興へ向けて県民の奮闘が続く。課題はまだまだあるが、本格復興への芽吹きは少しずつ増えつつある。希望を持ち、大きく育てていきたい。

 今春、浜通り地方の悲願だった常磐道の全線開通が実現した。常磐富岡―浪江インターチェンジ間が供用開始し、首都圏と浜通り、仙台圏とを結ぶ延長約300キロの大動脈がつながった。

 常磐道は、浜通りの地域再生を担う「復興道路」だ。今年は楢葉町が、全域避難となった7町村では初めて避難指示が解除された。他の避難区域についても政府は、17年3月までに帰還困難区域を除き避難指示を解除する方針を掲げる。古里への帰還や一時帰宅に、常磐道の活用が見込まれる。

 県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設は、予定地の大熊、双葉両町で建設が始まり、汚染土壌の試験搬入が始まった。しかし用地交渉は遅れており、本体施設の着工時期は見通せないままだ。県内各地にある仮置きを解消するためには、政府が前面に立った対応が欠かせない。

 震災後、客足が落ち込んだ観光の再生へ大きな動きがあった。4月からの大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」では6月までの期間中、約1332万人が本県を訪れた。課題を洗い出し、持続的な誘客につなげる必要がある。

 天皇、皇后両陛下が7月に来県された。桑折町のモモ農家と福島市の復興公営住宅を訪問、農家や避難者らを励まされた。震災後4回目のご来県で、両陛下の言葉に多くの県民が勇気づけられた。

 9月には「関東・東北豪雨」があり、県内も「50年に1度」という激しい雨に見舞われた。南会津町や伊達市をはじめ各地で被害が相次ぎ、自然災害への備えの大切さを再認識させられた。

 若い力は今年も躍動した。全日本合唱コンクール全国大会で会津高と郡山五中が「日本一」に輝き、「合唱王国ふくしま」の健在ぶりをアピール。

 スポーツでは、富岡高バドミントン部の部員とOBらが「紀の国わかやま国体」で優勝、他の各大会でも好成績を収めるなど、若者らが県民に明るい話題を届けた。

 震災と原発事故から5度目の年越しを迎える。これからが復興を軌道に乗せるための正念場だ。震災前よりも活気にあふれた古里になると信じ、新年を迎えたい