【1月1日付社説】新年を迎えて/自ら立ち上がる年にしよう

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 2016年の幕が開けた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から5度目の正月だ。

 新年は、県民一人一人が未来を見つめ、次代を担う子どもたちに自信と誇りをもって手渡すことができるような新しい福島県をつくるために立ち上がる年にしたい。

 そのために必要なことは、県民が主体となって、県の「内側」から自発、自律的に復興を目指していこうとする姿勢だ。

 どちらかといえば、復興はこれまで、政府や東電など「外側」の力を中心に進められてきた。それは東日本大震災が未曽有の自然災害だったことや、原子力政策が国策で進められ、原発事故の原因者が東電であることを考えれば当然のことでもあった。

 しかし、震災と原発事故の発生から丸5年を迎えようとするいま、少しでも早く、真の復興と地方創生を遂げるためには、外側の力だけでなく、内側から湧き上がるような強い力が必要だ。

 住民自らの手で地域の発展を目指す「内発的発展論」を追究した社会学者の鶴見和子さんは生前、赤坂憲雄さん(県立博物館長)との対談(「地域からつくる」藤原書店)で、地域の人々が内発的に立ち上がってこそ、地域外の人々も応援することができる―という趣旨の話をしている。対談は震災前のものだが、本格復興を目指す本県にとって示唆に富む。

 昨年は、浜通りの大動脈である常磐道が全線開通し、経済再生へ新たな研究・産業拠点を整備する構想が具体化へ始動。復興を担う人材を育てる県立中高一貫校「ふたば未来学園高」も開校した。

 そして9月には全域避難が続く7町村では初めて、楢葉町の避難指示が解除されるなど復興は少しずつだが着実に前に進んでいる。

 しかし県民のおよそ19人に1人に当たる10万人余がいまも避難生活をおくる。第1原発の汚染水対策は道半ばで、汚染土壌を保管する中間貯蔵施設も建設予定地の用地買収が進まぬまま年を越した。

 震災から10年間の復興期間は本年度で前半を終えるが復興の進み具合はまだら模様を描いている。政府や東電は本県が復興するまで責任を全うしなければならない。

 本県が抱える課題は復興だけでない。少子高齢化や過疎化、中心市街地の空洞化など震災前からの課題がたくさんある。人口減少の荒波が押し寄せている現状は国勢調査速報値の結果からも明らかだ。県と市町村は、住民の先頭に立って汗をかき、本県が課題解決の先進県になるよう努めるべきだ。

 前より前へ。自信と誇りに満ちた新しい福島県の実現は、いまを生きる私たちの未来に対しての責務だ。県民がともに力を合わせ、大きく一歩踏み出す年にしたい。