【1月6日付社説】航空・宇宙産業/集積進め雇用の裾野広げよ

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 本県が震災と原発事故からの復興を成し遂げ、将来にわたって成長を続けるためには、産業構造を分厚くすることが重要になる。

 県は新年度から航空・宇宙関連産業の集積を強化する。医療機器、再生可能エネルギーと並ぶ産業復興の柱に位置付ける考えだ。

 航空・宇宙関連産業は国内外で市場規模の拡大が見込まれる成長分野だ。特に航空機産業はインドや中国などアジア諸国の経済発展を背景に、民間機市場が今後20年間で倍増するとの予測もある。

 県が有望視するのは、産業としての裾野の広さだ。経済産業省によると、自動車の部品の数が約3万点なのに対し、航空機の部品はその100倍に上るという。

 航空機を開発・製造する大手メーカーの1次取引先だけでも千社に及ぶといわれる。

 ピラミッド型の産業構造で部品の製造、組み立て、加工からシステムや電子産業、金型や素材産業などへと裾野が広がる。

 関連産業の集積には、他の産業への波及や中小企業参入の潜在力が秘められているといえよう。

 ただ、国際的に部品の供給が進んでいるため、参入企業には世界標準の品質管理規格の認証取得が求められる。英語での申請や数百万円かかるという経費など、中小企業にとっては、認証取得のハードルが高いというのが実情だ。

 このため県は新年度予算に認証取得の支援策の経費を計上する。輸送用機械製造などの県内中小企業が参入しやすい環境を整えたい考えだが、核となる企業の育成にも努める必要がある。

 産業集積によって雇用の門戸を広げることが重要だ。受け皿を大きくするだけでなく、働き手が、さまざまな職種を選べるような産業集積を目指したい。

 県内には集積の下地がある。航空機用エンジンの部品や付属品などの本県の出荷額は2013年に1千億円を超え、全国2位の実績を挙げている。

 宇宙分野でも県内に製造拠点を置く企業が小惑星探査プロジェクトに参加している。県はこうした下地を生かし、競争力の強化にも力を入れるべきだ。

 復興に向けては、原発事故の影響が大きい浜通りで国の福島・国際研究産業都市構想が動きだす。廃炉やロボットの研究開発拠点整備が進む見通しだが、地元からの雇用にどれだけ結び付くかは、現段階では不透明な状況だ。

 復興に加え、人口減少を乗り越えるためにも多層的な産業構造を整え、若い世代が安定して働ける場をつくり上げることが肝要だ。