【1月10日付社説】避難者10万人切る/暮らしの再建軌道に乗せよ

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 避難生活を続けている人たちの暮らしの再建を急ぐ必要があると、あらためて肝に銘じたい。

 県は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い、県内外に避難している県民の数が10万人を下回ったと発表した。

 県がまとめた8日現在の被害状況速報によると、県内への避難者は5万6463人、県外への避難者は4万3497人。避難先が不明な31人を含めて避難者数は計9万9991人となった。

 県の統計で避難者数がピークだった2012(平成24)年5月の16万4865人と比べると、6万5000人近く減った。

 10万人を切った状況をどう見るか。当然ながら、避難者数は依然として高い水準にあると受け止めなければならない。

 ピーク時との比較では、県内避難者の減り幅のほうが大きい。県内避難者は12年5月時点の10万2827人から4万6364人減りほぼ半減した。これに対し県外避難者は6万2831人から1万9334人減にとどまっている。

 県は避難指示の解除に伴う帰還や、復興公営住宅への移転が進んでいるとしている。

 県の避難者数の集計は、災害救助法に基づいて仮設や借り上げ住宅に避難している住民が対象だ。復興公営住宅に移ったり、避難先で住宅を新築・購入した場合には避難が解消されたとみなされる。

 この集計方法に沿えば、避難者数が減ってきた理由としては、県が言うように、帰還や移転が進んだから、とみることができなくもない。しかし、これはあくまで集計上の数字の変遷にすぎない。

 集計のカウントから外れた人たちが、古里に戻れたり、避難先の新居で生活を立て直せているのか、内実を見る必要がある。

 中には、帰還の見通しが立たずに避難先での定住を選択せざるを得なかった人や、復興公営住宅に移っても古里への帰還を諦めていない人もいるだろう。

 忘れてならないのは、県内ではいまだに9市町村に原発事故の避難指示区域が残っていることだ。

 大勢の住民が避難したまま震災と原発事故から5年を過ぎようとしている。仮設住宅暮らしを続けているのは高齢者が多いとの現状もある。

 避難生活の解消は急務だ。生活インフラの再建や働く場の確保、除染などの環境の再生を加速させる必要がある。その上で県や市町村、国に求められるのは、避難の今とその先を見据え、被災者一人一人の暮らしの再建をきめ細かく後押しすることだ。