【1月12日付社説】なりすまし詐欺/被害ゼロへ力を合わせよう

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 息子などを装って電話をかけ、多額の現金をだまし取る「なりすまし詐欺」は、県内でも高齢者を中心に深刻な被害が続いている。官民が力を合わせ、被害の防止と犯人摘発に全力を挙げたい。

 県内の昨年1年間のなりすまし詐欺の被害件数は前年より52件多い163件で、現在の統計の形態となった2010年以降で最多となった。被害額は4億5801万円で、前年に比べ1000万円余り減ったが、高止まりした状態だ。

 被害額が前年を下回ったのは10年以降初めて。高齢者が金融機関で高額な現金を引き出す際、職員が声を掛けるなどの成果の表れとみることもできるが、一方では犯人グループが犯行を容易にするために要求額を小口化した結果だとの見方もあり、少しも気を緩めることはできない。

 犯行の手口は、本県が首都圏に比較的近く、新幹線や高速道路など交通の便が良いことから、犯人が直接現金を受け取る「手交型」が多いが、複雑、巧妙化するばかりだ。警察による捜査と摘発、関係機関や地域の協力、そして県民一人一人の用心で、被害の発生を防がなければならない。

 県警は新年度、なりすまし詐欺の捜査体制を強化するため、捜査2課に「特殊詐欺特別捜査室」(仮称)を新設する。10人程度の専従捜査員を投入して、犯行グループの摘発に当たる。

 専従体制にすることで、現金受け取り役の「受け子」と呼ばれる実行犯だけではなく、犯行グループの主犯格の摘発につなげる。継続的な捜査も可能とする。捜査体制の強化を、犯行グループの摘発に確実に生かしてもらいたい。

 県警は捜査室の新設に先駆けて今月から、県内の高齢者宅5000軒を「なりすまし詐欺防止協力の家」に委嘱する。不審な電話を受けた際は、迅速に通報するとともに、電話を信じたように装い犯人との接触を図る「だまされたふり作戦」に協力してもらう考えだ。

 町内会や民生委員、老人クラブなどの情報を基に委嘱するほか、これまで詐欺に遭ったり、不審電話を受けたことのある高齢者にも協力を求める。作戦を契機に、それぞれが防犯に対しての意識を高めるとともに、情報と教訓を共有し合うことが大切だ。

 マイナンバー制度の運用が今月から始まり、関係する詐欺も懸念されている。昨年、発足した被害防止の相談窓口組織「なりすまし詐欺防止ふくしまネットワーク」もフル稼働させるなど、さまざまな手法と対策を立体的に駆使することで被害ゼロを目指したい。