【1月14日付社説】医大に新学部/医療復興と街再生に生かせ

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 人材不足が深刻な本県の医療分野の復興につなげる構想だ。県民の健康や地域医療を守っていこうという若者を育てるための機能を充実させたい。

 県は保健医療の専門職を養成するための新施設の基本構想をまとめた。福島医大の新学部として2021(平成33)年4月、福島市の中心市街地に開設する方針だ。

 養成するのは、体が不自由な人のリハビリを担う「理学療法士」と「作業療法士」、エックス線やコンピューター断層撮影をする「診療放射線技師」、血液や尿の検査を行う「臨床検査技師」の4職種。

 新学部は4年制4学科とし、定員は診療放射線技師が25人で、そのほかは各40人を想定している。

 これらの専門職は医療技術の高度化などから、全国的にもニーズが高まっている。

 医療現場では医師や看護師に専門職のスタッフを加えたチーム医療が重要視され、高齢化が著しい地域では医療と介護、生活支援などを一体的に提供する体制の構築が求められている。

 加えて本県では、震災と原発事故によって医療の提供体制にも大きな被害が出た。

 一番の問題は、県民の健康不安が増している点だ。長引く避難生活や放射性物質への心配から生じるストレスや運動不足による健康指標の悪化が懸念されている。

 県の推計では、県内の4職種の従事者数は需要の6割程度にとどまっており、県は県内医療関係者などの有識者会議から、人材確保に向けて県立大の養成機関を設置するよう提言を受けていた。

 診療放射線技師の養成機関は県内では初めてになる。福島医大は19年夏までに文部科学省へ新学部設置を申請する予定だ。

 新学部開設までには教員確保など課題は多い。卒業生の県内定着を促進するためには県内の医療機関との連携も重要だ。県と福島医大には、地域に根差した学部にするための周到な準備を求めたい。

 保健医療の人材養成とともに今回の構想で注目されるのは、大学の学部をJR福島駅前の旧百貨店跡地に設置する点だ。

 構想では、駅前通りに面した用地に地上8階地下1階、延べ床面積1万8000平方メートルの校舎を建設する。若者が通う大学を、中心市街地活性化への起爆剤と捉えたい。

 駅前周辺への大学設置を要望してきた市と福島商工会議所などが中心となり街なかににぎわいをつくり出すための知恵を絞りたい。

 周辺では大規模な病院の整備が進んでおり、医療環境を生かしたまちづくりにもつながるはずだ。