【1月15日付社説】マイナンバー開始/欠かせぬ国民の理解と信頼

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 すべての国民に番号を割り当てる「マイナンバー制度」の運用が今月から始まった。

 マイナンバーは社会保障を支える基盤となり得る制度だが、定着させるには国民の理解と信頼が欠かせない。政府は制度の周知徹底と不安解消に努めてほしい。

 マイナンバーは所得や納税、年金など別々に管理されてきた個人情報を一つの番号で結び付けることで行政を効率化し、公平な税の徴収や社会保障の実現を目指す。

 12桁の個人番号を記載した「通知カード」の配達完了は当初、2015年11月とされたが大幅に遅れた。全国約5700万世帯のうち約1割は不在などで市町村に戻されたため、通知カードを受け取らないまま運用開始を迎えた人も少なくない。本人が希望すれば、顔写真付きの「個人番号カード」が今月以降、無料で交付される。

 制度が適用されるのは、「税」、「社会保障」、「災害関連」の3分野。運用が開始されたことで、職場や行政手続きで番号の提示が求められるなど、用途は今後、段階的に増えていく。

 市町村など行政の窓口で個人番号を書類に書き込むケースは、児童手当の申請や介護制度の利用、生活保護を受ける場合などがある。これらを所管する厚生労働省や内閣府は、申請者がマイナンバーを把握していない場合、自治体職員が代わって記入を認める通知を出している。申請者の不安や負担を軽減する措置だ。県内の市町村も対応している。

 昨年12月の共同通信世論調査によると、制度について「よく知っている」と答えた人は13%にとどまった。国民理解はまだまだ不十分であることを肝に銘じ、周知活動に取り組まなければならない。

 理解の深度と裏表の関係にあるのだろう。同調査では、情報漏えいやプライバシー侵害などに不安を感じている人が78%に上った。

 個人情報保護法の改正で個人情報の保護が強化され、新たに罰則が設けられたが、制度に対する国民の不安や不信感は根強い。

 個人情報の保護を重視し、慎重な運用に努めるのは当然だ。政府は、国民の懸念を置き去りにすることのないよう、国民の声に耳を傾け、十分な説明とともに小まめに対策を講じていく必要がある。

 制度の周知不足に乗じた詐欺や不審電話が全国で相次いでいる。県内で実害はないが、関連する不審電話は県警が13日までに把握しているだけで11件ある。「公的機関が電話でマイナンバーなど個人情報を聞くことは絶対ない」ことを心に留めておきたい。