【1月16日付社説】廃炉・除染作業員/復興へ共に前進できる道を

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 がれきが片付き、真新しい舗装の構内に建てられた大型の休憩施設は食堂を備え、温かな食事のメニューがそろう。

 作業員が寝袋でいっときの休息をとり、カップ麺でしのいできた過酷な作業は影を潜めた。

 東京電力福島第1原発。廃炉と汚染水対策で1日7000人の作業員が働く現場だ。事故から5年を過ぎようとして、作業員の労働環境は改善が進んできた。

 だが、廃炉までには30~40年かかる。長期にわたる復興への道のりを、作業員と住民が共に歩み続けていく地域の姿を考える時期に来ている。

 本紙は連載「復興の道標 ふくしまの今を問う」で今月6日付から7回(別に番外編2回)にわたり、県内で働く原発作業員や除染作業員の実情をリポートした。

 廃炉や除染に従事する作業員の数は3万人を超える。県内の人もいるが、県外から、これまでに例のない規模で作業員の流入が続いている。

 廃炉作業では、被ばく線量が一定の基準を超えると作業ができなくなる。除染は県内の42市町村で取り組まれる膨大な作業だ。

 住宅除染などは迅速さも求められ、作業員を確保するために、作業を請け負った元請けに下請けが連なる多層請負構造が常態化しているのが現状だ。

 人集めのための多層請負の末端では、賃金の不払いなどのトラブルが起きている。本紙連載では、違法派遣や健康状態のチェックがおろそかになっている実態も浮かび上がった。

 作業員の意識もさまざまだ。復興のためという人もいれば、稼ぐため、他に仕事が見つからないから、という人もいるだろう。

 社会保険に入ることを拒む人もいれば、短期雇用や日雇い労働を自ら望む人もいる。体をこわし、生活に困窮する人もいる。

 廃炉や除染で働く人たちが、安定した収入と健康な暮らしを続けられる環境を整えることが、今の課題だろう。そのためにはまず、人集めの多層請負構造を早急に是正する必要がある。

 発注者である国、自治体、東電が、受注業者への目を光らせ、雇用や労働条件のルールをさらに浸透させることも求められる。
 住民の避難が続いている地域では、古里に帰った住民よりも、作業員のほうが多いことに不安を感じる人もいる。

 廃炉や除染作業員は、本県の復興に欠かせない存在だ。発注者と受注者双方が、地域との接点を探り続けることが重要になる。