【1月23日付社説】施政方針演説/「復興は正念場」と胸に刻め

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 「懸案に真正面から挑戦する」との首相の掛け声が、空振りに終わらないよう強く求めたい。

 それは政権ばかりでなく国会にも向けられるものだ。

 安倍晋三首相が施政方針演説を行ったきのうの衆院本会議は、開会が予定より1時間遅れた。甘利明経済再生担当相の金銭授受疑惑が絡んでの国会対応だ。首相演説に続く甘利氏の経済演説では、野党側から退席者を出した。

 疑惑の追及、解明はもちろん重要だし、甘利氏側も早急に説明責任を果たすことが必要になる。

 ただ、施政方針演説は次年度の予算審議に先立ち、首相が衆参両院の本会議で国政の基本方針を示すものだ。2016年度予算審議が出足からつまずくようなことがあってはならない。

 その思いを強くするのは、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく丸5年を迎える被災地にとって、復興が正念場を迎えるからだ。

 政府が10年間としている復興期間は16年度から後半5カ年の「復興・創生期間」に入る。

 原発事故の避難区域では、来年春までに帰還困難区域を除く避難指示が解除される見通しだ。

 政府には切れ目のない復興政策や新たな被災者支援策などが求められるだけに、国会には実のある論戦が望まれる。

 安倍首相は施政方針演説の中で「復興への熱意を全力で応援する」と述べ、被災地の自立につながる支援を行う考えを示した。

 いまだに生活の再建や事業再開の見通しが立たない被災者がいることを忘れてはなるまい。

 ようやく出始めた復興の芽を大きく育てることも大切だ。安倍首相は、福島市の土湯温泉で取り組まれている再生可能エネルギーを活用したまちづくりを紹介した。

 原発事故で全町避難が続く大熊町の復興拠点計画で大規模太陽光発電のメガソーラー建設工事が始まったことにも触れた。

 安倍首相はこうした動きを「新しい可能性に挑戦するチャンス」と捉えた。にぎわいの回復、古里への帰還の実現に向けた地域の思いをすくい上げ、復興の形を整えていくことを求めたい。

 本県の復興の進展に影響を与えるのが、第1原発の廃炉・汚染水対策や中間貯蔵施設の建設だ。

 政府が前面に立たなければならない懸案だが、安倍首相の演説では明確な道筋が示されなかった。

 政府に求められるのは、復興の成果を着実に積み上げることだ。国会もそのことを肝に銘じた論戦を展開してもらいたい。