【1月24日付社説】震災復旧談合/「復興便乗」の不正許されぬ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 震災復興事業に乗じて、業界で利益を分け合うような行為は到底許されるものではない。

 東京地検特捜部と公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、道路舗装各社を家宅捜索した。

 東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事で談合を繰り返していたとの疑いだ。特捜部は立件に向けて詰めの捜査を進める。刑事事件に発展する見通しだ。

 疑いが持たれているのは、2011年8~9月に東日本高速道路東北支社が入札を実施した東北、常磐、磐越自動車道など12件の舗装工事で、県内で行われた7件の工事が含まれている。

 大手3社が「幹事社」となって東北支店の営業担当社員らが中心となり、工事ごとに1社ずつ落札会社を割り振ったという。

 落札総額は約176億円で、国から約160億円の補助金が交付された。予定価格に対する落札額の比率(落札率)は平均約95%に上る。

 震災前には、予定価格250万円超の舗装工事の平均落札率が約77%だったことからみれば、極端な上昇だ。公正な入札が行われていれば、落札額は低く抑えられた可能性は高いといえよう。

 国からの補助金には所得増税などで賄われた復興予算が充てられている。談合が事実なら、復興を食い物にする行為と断じなければならない。検察幹部が「談合の責任は重い」と話すのも当然だ。

 公取委は昨年1月、独禁法違反容疑で、談合に関わったとみられる20社への強制調査に着手していた。これまでに複数社の担当者が談合を認めているという。

 「原材料費が値上がりし、高値で受注したかった」「資材や労働力の確保が難航していた」というのが業者の言い分のようだ。

 しかし、密室で自分たちの都合のいいように落札価格をつり上げていいはずがない。まして「早期復興のためだった」との言い訳を持ち出すようでは、被災地への背信と言わざるを得ない。

 復旧にはスピード感が求められるのは確かだ。広い範囲に大きな被害をもたらす大災害であれば、資材や人材を集中的に投入する必要性に迫られる。

 だからといって、業界の身勝手なルールを許してしまえば、平常時にも同じことが続く危険性がある。災害時の応急対応は、復興・復旧事業を主導する行政側が考えなければならない問題だ。

 談合は公正な競争をゆがめる不正行為だ。復興予算を無駄に使うようなことがあってはならない。