【2月2日付社説】ふたば復興診療所/医療の再生を住民の支えに

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 東京電力福島第1原発事故で避難を強いられた双葉地方の医療再生への一歩と捉えたい。

 昨年9月に避難指示が解除された楢葉町で、きのうから「県立大野病院付属ふたば復興診療所」(愛称・ふたばリカーレ)が診療を始めた。

 診療所は、商業施設や復興住宅などを集約した町の復興拠点が整備される北田地区に建設された。町にとっても、これから避難指示の解除が進む双葉地方にとっても、医療再生の拠点と位置付けられる施設だ。

 診療科目は内科と整形外科。診察室のほかCTや内視鏡の検査室なども備える。内科は週5日間、整形外科は週3日間のいずれも平日外来診療のみだが、内科では福島医大から循環器や呼吸器、神経内科などの専門医が派遣される。

 同町では昨年10月に民間のクリニックが診療を再開しているが、医療体制の拡充は住民の帰還を左右する課題で、公的医療の後押しが不可欠だ。

 民間医療と連携しながら専門的な診療や、地域に密着した診療体制を充実させたい。

 同町の住民の帰還率は、1月18日現在で町人口の5.7%にとどまっている。避難している住民には、気軽にかかることができる医療機関がなければ、帰還できないという不安が根強い。

 帰還した住民にとっても同じことが言えよう。同町では帰還住民のうち、65歳以上の高齢者の割合が50%を超える。お年寄りが地域の復興の先陣を切る存在になっているのが実情だ。

 こうしたお年寄りの健康を守る取り組みが重要になる。お年寄りが元気で暮らし、これから帰還しようという住民を迎え入れられる生活環境を整えるためにも、診療所が果たす役割は大きい。

 同町は、双葉地方の復興の最前線ともなる。廃炉の技術開発センターが春には稼働するほか廃炉関連企業の社宅などが整備される。

 診療所には、廃炉などの復興関連作業に携わる人たちの健康や生活を支える機能も求められる。

 双葉地方で公的医療の提供がようやく再開されたが、県などは課題も多いことを認識すべきだ。

 診療所では内科の常勤医が不在となる。入院や手術に対応する2次医療機関としての機能を持っていない。県には、住民に身近な医療をどこまで提供できるかといった運用面の点検が求められよう。

 避難指示の解除を見込む他の町村との連携も重要になる。診療所を核としたネットワークで地域医療の再建に努める必要がある。