【2月4日付社説】県の新年度予算案/復興と地方創生を形に表せ

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 一日も早い復興の実感を待ち望む県民の願いをかなえるよう県は正念場の1年と位置付け、復興の加速化と将来の飛躍を目指す施策の展開に臨まなければならない。 

 内堀雅雄知事がきのうの会見で発表した県の2016(平成28)年度当初予算案の規模は、過去最大だった15年度に続き、1兆8000億円を上回った。

 このうち東日本大震災と東京電力福島第1原発事故対応分も2年続きで1兆円を超える。

 他の被災県や国の復興予算の規模が縮小傾向にある中、それだけ複合災害からの本県復興が、いかに困難かという表れだろう。

 震災と原発事故から間もなく5年を迎え、16年度は国が10年間としている復興期間の後期5カ年の「復興・創生期間」に入る節目の年度だ。

 まず加速化が求められるのは、原発事故に伴う避難地域の復興だ。県は双葉地域で入院や手術に対応する医療体制を整える事業を新規に計上した。

 医療を受けられる環境に戻るかどうかは住民帰還に関わる問題だ。迅速な整備が求められる。

 ここで忘れてならない視点が人口減少と少子高齢化への対応だ。避難地域では、震災と原発事故によって人口減少と少子高齢化が一気に進んだ。ほかの地域でも進み具合に差はあれ、大きな問題として立ちはだかる。

 内堀知事は人口減少対策を本格化させる「地方創生」にも重点を置く方針で、16年度予算案を「復興・創生元年予算」と名付けた。

 地域の復興を地方創生に結び付けようという考えだ。そのためには復興に伴う産業力の強化や雇用規模の拡大を、活力ある地域づくりにつなげることが重要になる。

 県は新規事業に盛り込んだ航空宇宙産業の集積を再生可能エネルギー、医療機器、ロボットに続く本県の産業復興の柱に据える。

 浜通りに先端技術の拠点を整備する福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の具体化にも着手する。

 新産業の創出と同時に「日本酒の里づくり」など農林水産業の分野でブランド化も進める。既存産業の再生も本県の経済基盤の強化に不可欠だ。

 気を付けなければならないのは最大規模の予算案を17年度以降も組めるかが不透明な点だ。

 復興需要によって県税収入は増えているが、地方交付税や震災復興特別税などは減っている。

 風化が進む懸念も拭えない。県には復興・創生予算を着実に形に表すよう求めたい。