【2月6日付社説】TPP影響試算/農業の「体力強化」へ本腰を

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 本県の基幹産業である農林水産業への環太平洋連携協定(TPP)の影響を抑える対策に本腰を入れなければならない。

 日米などTPP参加12カ国が協定文に署名し、2018年4月以降に協定が発効されるとの見方が濃厚になった。

 TPPによる関税撤廃で輸入品が増加すれば、農産品の価格下落は避けられそうにない。TPPの国内対策で重要になるのは1次産業に携わる生産所得の安定策だ。

 県が公表した試算ではTPPの発効により、県内農林水産業の生産額は10年と比べて17億1000万~32億4000万円減ると見込まれる。

 試算の対象としたのは、政府が昨年12月に試算結果を公表した33品目の中で本県に該当するコメや麦、畜産品など17品目。

 減少額に幅があるのは、品目によって段階的に関税が撤廃されるためだが、最大の32億4000万円は県内総生産額の1・3%に相当する額だ。TPPが県内の農林水産業にもたらす影響の大きさを測ることができよう。

 品目別で最も影響を受けるのは牛肉で、8億4000万~16億8000万円減り、次いで豚肉が3億3000万~6億5000万円減るとされた。これらは米国、豪州産との競合が予想されている品目だ。

 畜産をはじめ、影響が見込まれる品目の生産現場では、価格競争を勝ち抜くための経営体力の強化や生産コストの削減に早く手を打つ必要がある。

 ここで注意しなければならないのは、県の試算は、政府が今後取り組むTPPの国内対策の効果を織り込んでいる点だ。

 生産額の試算には、対象の17品目の生産量が、10年の時点のまま変わらずに推移した場合―との前提が付く。例えば、コメについては、政府が無関税の輸入枠に相当する量の国産米を買い上げる方針を打ち出しているため、影響額はゼロと試算した。

 国内対策によって生産量は維持できるというのが政府の考え方だが、JA福島中央会が公表した試算では、生産量の減少を見込み、10年の総生産額比で421億円減るとの見通しを示している。

 県の3倍近い50品目で試算した結果だが、影響額の開きは歴然だ。県はさまざまな角度から影響の検証を続ける必要がある。

 本県の場合、原発事故の影響が色濃く残る。いまだに県産品への風評被害が拭い切れず農林水産業を取り巻く環境は厳しいままだ。県に求められるのは、県内の現状を的確に把握し、柔軟な対応を講じることだ。