【2月11日付社説】凍土遮水壁/安全な運用方法の確立急げ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 東京電力福島第1原発に建設された「凍土遮水壁」は、政府と東電が汚染水対策の切り札としてきたはずだ。

 それなのに運用開始の認可が下りない。政府、東電に求められるのは、十分な安全を確保した運用方法を早急に確立することだ。

 凍土遮水壁は1~4号機の建屋を囲うように土壌を凍らせ、地下水の流入を防ごうという計画だ。

 同原発の敷地には山側から海側に向かって流れている地下水が溶け落ちた燃料が残る建屋地下にも流れ込み、汚染水の発生要因となっている。

 地下水の流れを遮断しなければ汚染水を減らせないと、計画されたのが凍土遮水壁だ。

 2013(平成25)年5月に政府の汚染水処理対策委員会が、地下水流入抑制の抜本策として設置が適当―と判断し、東電が翌14年6月に着工した。

 建屋の周囲に1568本の凍結管を約1メートル間隔に深さ約30メートルまで埋め込み、零下30度の冷却剤を循環させて全長約1.5キロの氷の壁を造る仕組みだ。建設費には約350億円の国費が充てられた。

 計画では、凍土遮水壁の効果として1日当たりの地下水の流入量を400トンから100トンまで減らせるとしている。

 工事は9日に完了し氷の壁を造る準備は整ったが、凍結開始の認可に向けた原子力規制委員会の審査が長期化し、本格運用のめどが立っていないのが現状だ。

 規制委が認可しない理由は汚染水漏れの懸念が拭えないからだ。

 東電は遮水壁によって建屋周辺の地下水の水位が下がり建屋への流入を抑えられるとしている。

 これに対し規制委は水位が急激に下がった場合、建屋内にたまっている高濃度汚染水の水位のほうが高くなり汚染水が外部に漏れ出すリスクがあると指摘している。

 この問題について規制委は、着工当初から東電側に説明を求めてきたが、東電は完成段階になっても、規制委を納得させるだけの回答ができていない。

 規制委の審査は、安全な運用ができるかどうか確認することにある。東電はこの点を重く受け止め遮水壁の効果の根拠を科学的に詰めていくべきだ。

 規制委は氷の壁を造成する手順についても説明を求めている。汚染水漏れを抑えるための運用方法を具体的に示す必要がある。

 政府と東電は、工程表に掲げた「本年度中の凍結完了」の目標を崩していない。政府も前面に出て安全な運用に責任を負わなければならないことを銘記したい。