【2月13日付社説】線量測定の見直し/継続性重視の視点が必要だ

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 大気中の放射線量を継続的に計測する放射線監視装置(モニタリングポスト)は、住民が「安心」を確認するための根拠ともなる。

 その装置の設置場所を、東京電力福島第1原発事故の避難区域に重点的に移していく方針を原子力規制委員会が打ち出した。

 避難区域の測定強化のためというのが理由だ。確かに、避難している住民が帰還を判断するためには、より詳細に線量のデータをそろえることが重要になる。

 帰還困難区域では、除染の進み具合でどの程度線量が変化するのかを示すことができれば、帰還が可能なのかどうかを議論するためのたたき台にもなるだろう。

 住民が帰還できる状況を整えるためにも、避難区域の測定を強化するのは必要なことだ。

 ただ、モニタリングポストを新設するには予算がかかるから、避難区域以外に設置してあるものを撤去して避難区域に再配置するという考え方だとすれば、あまりに安易といえよう。

 規制委の方針はこうだ。再配置の検討対象となるのが、線量を24時間連続で測定する「リアルタイム線量測定システム」。

 このシステムのモニタリングポストが県内に約3000台設置されてあり、このうち避難区域の外側にある約2400台の一部の撤去、再配置を検討する。

 高い線量まで測定できる別のタイプのモニタリングポスト約600台は従来通り測定を継続する。県内全域の線量を把握するための測定は維持する方針だが、2017年度以降に避難区域の測定体制の強化を実施したい考えだ。

 原子力規制庁によると原発事故からほぼ5年がたち、県内の放射線量は全体として減少している。

 各地の学校や公的施設などに設置されたモニタリングポストで示される空間線量率は、時間的な変動が小さく、安定してきた。

 だからといって、線量が下がり増減の変化がなくなった場所で、定点測定を止めることの検討は、慎重になされなければならない。

 数値上は安全なレベルだとしても、モニタリングポストを「安心」の根拠としている住民にとっては、それがなくなることへの不安を覚える人もいるだろう。

 観光や農業などへの風評を払拭(ふっしょく)するためにも線量のデータの蓄積が大切になる。

 モニタリングポストの撤去は時期尚早といえよう。もちろん避難区域の測定強化は不可欠だ。この問題をどう両立させるか、規制委には市町村との十分な協議や実効性のある予算の確保を求めたい。