【2月16日付社説】中間貯蔵施設/国挙げて作業を前進させよ

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 中間貯蔵施設の整備を環境省に任せていては、遅々として進まないのがもはや明らかだ。

 県と建設予定地の大熊、双葉両町が搬入受け入れを政府に伝えてから今月で1年がたつのに、本体施設への搬入開始はおろか、建設予定地の用地取得も見通せない。

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た県内の汚染土壌などを集約し、最長30年間にわたり保管する施設の建設は、国家的なプロジェクトのはずだ。

 政府を挙げて用地交渉を前に進め、施設の建設、本格搬入開始への道筋を早急に付けるべきだ。

 計画されている本体施設の面積は16平方キロ。登記簿上2400人とされる全地権者のうち、環境省が1月末までに契約にこぎ着けたのは、わずか44件で全体の2%にとどまっている。

 用地交渉が遅れている最大の要因は、補償額の算定作業に時間がかかっているためだ。算定調査を受け入れたのに、回答や連絡が来ないとの地権者の指摘を耳にするような状況が続いている。

 地権者が用地交渉を受け入れないから遅れているわけではないことを肝に銘じなければならない。環境省の作業上の遅れが地権者の生活再建の足かせになるようなことは、あってはならないことだ。

 算定に時間がかかる理由として環境省は、予定地が帰還困難区域にある特殊性を挙げる。財物の全てが補償の対象になるからだ。

 このため算定要領をマニュアル化し、作業のスピードアップを図るとした用地交渉の「加速化プラン」を昨年11月に打ち出したが、効果が表れているとは言い難い。

 プランには用地交渉の経験を持つ職員の確保に向け関係省庁へのさらなる働き掛けを盛り込んでいる。新年度には職員の増員も計画しているが、そもそも用地交渉は環境省にとって専門外だ。

 丸川珠代環境相は「算定にかかる時間をいかに短縮するかが課題」と口にするが、残念ながら先頭に立って交渉を前に進めようという姿勢が見えない。

 体制を増強しようとするのなら、政府を挙げた一元的な体制を構築しなければならない。

 中間貯蔵施設の整備の遅れは、市町村に仮置きされたままの汚染土壌の搬出の遅れに直結する。

 市町村によっては仮置き場にしている民間の土地の使用延長に地権者の理解が得られない事態への懸念が強まっている。

 政府は中間貯蔵施設の整備が遅れるほど、予定地の大熊、双葉両町をはじめ県内各地で不信感が増すことを忘れてはならない。