【2月17日付社説】「日本遺産」申請/「物語」ある観光増やしたい

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 地域の有形・無形文化財を観光資源として活用する文化庁の「日本遺産」に、県内からは「猪苗代湖を中心とした安積開拓・安積疏水による発展の歴史」(郡山市、猪苗代町)と「『仏都会津』を軸にした文化財群」(会津17市町村)の2件が申請した。

 今回は昨年に続く第2弾認定で、文化庁によると67件の申請があった。4月にはこのうち20件程度が新たな日本遺産として認められる。本県の2件の認定を期待するとともに、県内にある数多くの文化財の活用促進と発信力強化について考える契機にしたい。

 日本遺産は、地域に点在する歴史的建造物や伝統芸能などの文化財を「面」で捉えてパッケージ化し、地域のブランド化や存在感の向上に役立てようというもの。

 これまでの文化財行政は個々の遺産を「点」として指定・保存することを目的にしているため、地域としての魅力が伝えにくかった。日本遺産の認定は、歴史的な価値を分かりやすく伝えるための物語性や、国内外への効果的な発信性が可否のポイントとなる。

 「安積開拓」は、全国に先駆けて始まった国営開拓事業をはじめ一連の取り組みを物語としてまとめた。両市町は東京五輪・パラリンピックで「ホストタウン」に登録されており、日本遺産と併せて観光振興の弾みにしたい考えだ。

 「仏都会津」は、平安初期の高僧・徳一(とくいつ)が磐梯町に慧日寺(えにちじ)を開いたのをきっかけに会津に広がり受け継がれてきた寺社信仰をまとめた。再挑戦となる今回は周遊性を持たせるなど物語性を高めた。

 文化庁は東京五輪が開かれる2020年までに100件を認定する方針で、第1弾は24府県の18件が認定されたが北海道・東北地方での認定はなかった。3月26日には北海道新幹線が開業、北に向かう観光客の増大が見込まれる。本県の2件が認定されれば、県内だけでなく同地方の有力な観光資源になるに違いない。

 国内外の観光客を安定して本県に呼び込むためには、一過性になりがちなキャンペーンやイベントに頼らない継続性のある魅力を打ち出すことが肝要だ。

 各地に点在する地域の「宝」をテーマに沿って一体的に捉え、訴求力を高めるという日本遺産の考え方は、同遺産に申請するしないにかかわらず応用できるだろう。

 日本政策投資銀行の調査によると東北地方を訪れる外国人旅行者の再訪率は高い。既存の観光地に磨きを掛けるとともに、新たな観光資源やルートを発掘・提案し、より多くの観光客を招きたい。