【2月25日付社説】家庭の電力自由化/賢い選択へさらなる情報を

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 4月から家庭用の小売り電力が自由化され、一般消費者が、どこの電力会社から電気を買うかを選択できるようになる。

 既に約200社が電力供給に必要な事業者登録を済ませ、東北電力など既存の電力会社を含めて多様な料金プランを発表している。このうち30社近くが東北での事業展開を予定している。

 地域ごとに電力会社が市場を独占し、消費者に選択の余地がなかった状況からの大変革で、自由化の意義は大きい。

 しかし、現在の制度や事業者の姿勢の下で、真に消費者の選択の幅を広げ、権利を拡大するような方向で自由化が進むかとなると心もとない部分も少なくない。

 消費者の選択のために、さらなる情報公開を進め、地域でエネルギーの地産地消や再生可能エネルギーの普及に取り組む小さな事業者にまで公平な競争を保証するような制度にすることが重要だ。

 自由化のメリットは、多数の事業者やさまざまなプランの中から、消費者が自分のライフスタイルや価値観に合ったものを選べるようになることにある。

 懸念されるのは、電気料金がどれだけ安くなるかを事業者がアピールするあまり、自由化の目的がそれだけであるかのような雰囲気が広がりつつあることだ。

 確かに消費者が選択する時に、料金は重要な要素だが、中には「少し価格が高くても再生可能エネルギーの電気を選びたい」という価値観もあるはずだ。

 しかし、今の制度ではこのような選択ができるほど十分な情報が公開されていない。事業者は情報を自主的に開示するべきだ。

 現行の電気料金は、最低限の生活保障や省エネの観点から、使用量の少ない家庭は安く、使うほど割高になる仕組みだ。

 一方、新制度で多くの事業者が示している料金プランは、電力使用量の多い家庭ほど料金引き下げの利点が大きいという「需要刺激型」のものが少なくない。

 これでは東京電力福島第1原発事故後に進んでいた省エネ努力に水をかけ、電力消費量の増加を招くことになりかねない。

 事業者は自由化を機に、ピーク時の節電など電力需要の管理に協力した消費者の料金を安くするなど、省エネ型の料金プランを充実させてほしい。

 自由化後も契約を替えなければ現状維持となり電気が止まることはない。各社の違いをじっくり見極めるという選択肢もある。焦って悪質な便乗商法や詐欺に遭うようなことがないよう心掛けたい。