【2月27日付社説】東電旧経営陣起訴へ /「事故は防げたのか」解明を

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 東京電力福島第1原発事故は、防げたのか。胸のつかえのように残る疑問の解明を待ちたい。

 東電の勝俣恒久元会長(75)や元副社長ら旧経営陣3人が、週明けの29日にも、業務上過失致死傷罪で東京地裁に在宅起訴される見通しになった。

 3人については、巨大津波への必要な措置を怠り重大な事故を発生させたとして、昨年7月に東京第5検察審査会が起訴すべきと2度目の議決をしたため、強制起訴が決まっていた。

 原発事故をめぐり、当時の東電トップの刑事責任を問う初めての裁判になる。

 未曽有の事故だけに、証拠や争点を整理するだけでも、相当な時間を要するとみられる。東京地裁は検察官役の指定弁護士に過去最多となる5人を選任しているが、それでも初公判は来年になる公算が大きい。

 裁判の長期化は避けられないが、事故原因についてはいまだに未解明な部分が多い。公判を通して真相究明につなげたい。

 公判のポイントになるのは、事前に巨大津波による大事故を予測できたのかという「予見可能性」の検証だ。

 ただ、それには膨大な資料や証言を洗い直す必要がある。原発事故前に巨大津波の恐れを示す調査結果や東電の試算があったことが明かされているが、当時の知見や当事者の認識はどうだったのかといった詳細な審理が求められる。

 旧経営陣の刑事責任を問う裁判の発端は、本県の被災者らでつくる「福島原発告訴団」などが2012年に政府首脳や東電経営陣らを告訴・告発したことによる。

 東京地検は捜査の結果、巨大津波の予測や事前に事故を防ぐ対策を取ることは不可能だったと判断し一括して不起訴とした。

 これに対し、東京第5検察審は14年7月に勝俣元会長ら3人について起訴相当と議決したが、東京地検は再び不起訴とし、同検察審が昨年7月に起訴すべきとの2度目の議決をしていた。

 強制起訴は司法の国民参加の一環としてある制度で、検察審は市民の代表が検察の不起訴が妥当かを判断する機関だ。

 検察審の議決は「原発事故は一度起きれば、取り返しがつかない」と指摘した。原発事業の責任者には、万が一の災害にも備える「高い注意義務」があると論じ、強制起訴に導いた。

 旧経営陣個人の過失を問うだけにとどまらず、「想定外」の事故とする東電自体、政府の責任の有無も明らかになるよう求めたい。