【3月1日付社説】廃炉と汚染水/オールジャパンで加速せよ

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 「防護服を着ずに、普通のマスクを着けただけで構内を歩くことができたのには驚いた」。先月半ば、久しぶりに東京電力福島第1原発を取材で訪れた同僚記者は感慨深げだ。一方で「2、3号機のわきではバスの中でも線量計の値が毎時420マイクロシーベルトを示した」とも。

 進んだものと進まないものが複雑に交錯する世界。それが東日本大震災と原発事故の発生から丸5年を迎える第1原発の現実だ。

 政府と東電の廃炉工程によれば、使用済み核燃料プールに残る燃料や原子炉内で溶け落ちた燃料(デブリ)を取り出して、1~4号機の施設を解体するまでは30~40年がかかるとされる。

 4号機プールからの燃料取り出しは終わり、1~3号機にあるデブリ取り出しが最大の課題だが、デブリの場所や状態はいまも分かっていない。廃炉への長い闘いはまだ入り口段階にすぎず、乗り越えなければならない課題は多い。

 その一つが廃炉の前提となる汚染水の処理だ。東電は2016年度までに建屋に流入する地下水の量を100トン未満まで減らす目標を掲げる。東京五輪・パラリンピックのある20年中には建屋への流入をなくし、建屋にたまる汚染水の増加をほぼゼロにする計画だ。

 しかし、そのためには東電が計画している凍土遮水壁やサブドレン計画、地下水バイパス計画など汚染水対策の全てがうまく機能することが欠かせない。

 安倍晋三首相は13年秋の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、汚染水漏れの影響を東京五輪には及ぼさないと断言し、汚染水問題の解決を事実上、国際公約した。政府にはその約束を確実に実行し、廃炉が済むまで前面に立って責任を全うするよう求めたい。

 廃炉を着実に進めるためには人材の確保が不可欠だ。東電は、廃炉にかかわる事業体制を安定的に継続させるとともに、関連技術や研究開発力をもつ企業、大学との連携・協力を一層強めるべきだ。

 廃炉に向けた技術研究拠点となる「楢葉遠隔技術開発センター」(楢葉町)は4月から本格運用が始まる。高い放射線量に対応できるロボットの開発や実証試験などにフル活用してもらいたい。

 廃炉や汚染水対策に関する情報提供にも一層努めてほしい。第1原発での作業の進み具合や研究開発の状況を逐次、詳しく伝えることで、住民らの不安を解き、理解と安心を得ることが重要だ。

 廃炉と汚染水対策は本県復興の「一丁目一番地」だ。復興をさらに加速させるために「オールジャパン」の体制づくりが急務だ。