【3月4日付社説】震災5年 除染と環境回復/確かな進展が復興の条件だ

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 原発事故から5年を経てもなお、復興の条件に位置付けられるのが除染だ。環境の回復を急ぎ、暮らしやコミュニティー、産業の再生につなげたい。

 除染は避難指示が出された11市町村の除染特別地域を国が直轄で行っているほか、36の市町村が実施計画を策定して進めている。

 除染特別地域では帰還困難区域以外の宅地、農地、森林、道路の除染が今年1月末までに田村、楢葉、川内、大熊、葛尾の5市町村で終了し川俣町でも農地の一部を残してほぼ終了した。

 残る飯舘、南相馬、浪江、富岡、双葉の5市町村でも、年内から来年3月までの終了が見込まれている。一方で、線量が高い帰還困難区域については、国の本格的な除染方針が定まっていない。

 すでに終了した地域でも、再除染を求める声もある。森林除染については住居に近い場所に限られている。

 避難したままの住民の一刻も早い帰還の実現に向け、着実に除染を進める必要がある。

 避難指示が出された区域以外の36市町村では住宅や公共施設、農地の除染が、計画の8割から9割程度終わっている。

 国や県の測定では、県内各地の空間線量は下がってきている。学校の子どもたちが校庭に出られなかった屋外活動の制限は、ほぼ解除された。空間線量は自然に減る分もあるが、除染の効果が表れてきたとみるべきだ。

 ただ、国が除染の長期目標としている年間1ミリシーベルト以下の追加被ばく線量の基準に達していない場所が残る現実もある。

 除染に加えて、子どもたちが学校に通い、住民が生活や仕事をしていく上で、追加被ばくをどのように抑えていくかといった方法を確立していくことが重要になる。

 これまでは学校や住宅から優先的に除染が進められてきたが、これからの課題に上るのが、森林のより広い範囲での除染だ。

 森林除染について国は、住宅や農地から20メートルの範囲や人が日常的に出入りする場所以外は除染しないとした方針を見直す考えだ。

 本県側の強い要望を受けたものだが、国は森林の除染を、中山間地が多い本県で根付いてきた「里山」の環境再生ととらえる視点から対応策を示すべきだ。

 環境の回復に向けては、除染の技術開発、研究を進めていく必要がある。除染や廃棄物処理研究の拠点として県が昨年10月に三春町に本館を開所した県環境創造センターをはじめ、国際的な研究機関や大学などの知見を生かしたい。