【3月5日付社説】中間貯蔵施設/用地取得「1%」は遅すぎる

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 野積みされている黒い袋が、いつになったら片付けられるのか。

 フレコンバッグと呼ばれる袋の中身は、除染で出た汚染土などの廃棄物。震災と原発事故から5年の節目に全国から多くの報道機関が取材に訪れ、リポートにしばしば取り上げられるのが、フレコンバッグの山積みの光景だ。

 地域の線量は下がっているのに、この光景を目にすると、原発事故の影響がいまだに後を引いている印象を強くするようだ。

 実際、避難区域などでは住民の帰還の意欲をそぐ要因の一つにも挙げられる。

 政府はこうした状況を早く解消するため、除染廃棄物を集約保管する中間貯蔵施設の整備を急ぐ必要があると強く認識すべきだ。

 中間貯蔵施設は大熊、双葉両町に計画され、県が受け入れを容認してから1年半が過ぎた。

 両町の面積の1割超となる1600ヘクタールが建設予定地とされているが、2月12日現在で、確保できた用地は全体の1%に満たない15ヘクタールにとどまる。

 2365人に上る地権者のうち契約にこぎ着けたのは同日現在で50人。まだ連絡のつかない地権者も多数いるという。

 環境省が担当している用地交渉が進まず、施設の本格稼働の見通しが立たないのが現状だ。環境省は施設整備や本格搬入の工程表を早く示してほしいという地元の要望に答えられないままでいる。

 環境省は評価額算定などの作業に時間がかかることを交渉難航の理由に挙げる。同省は算定業務のマニュアルを策定して作業の効率化を進めるほか、新年度からは職員を増員する。

 県も職員を派遣し交渉の進展を促す考えだが、政府は各省を挙げて交渉を加速させる必要がある。

 中間貯蔵施設への搬入見通しが立たない状況は、除染を進めてきた市町村にとって行政への住民の信頼を揺るがしかねない問題だ。

 国が当初3年程度としてきた市町村の仮置き期間はすでに過ぎている。仮置き場の使用延長について市町村は住民の協力を継続して求めていく必要がある。

 除染ではぎとった土を庭先に置いたり埋めている家庭も多い。住民の理解を得るためにも、政府は明確な工程を早急に示さなければならない。

 環境省が用地交渉と並行して実施してきた試験輸送が今月中に完了する見通しだ。

 輸送の安全確保対策は十分できているのかなどをしっかりと検証し、本格搬入に向けた準備も進めていかなければならない。