【3月6日付社説】震災関連死/地域で支える態勢つくろう

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 「避難生活で体調を崩し、亡くなった人を何人もみてきた。地元に帰ることができないというストレスは誰もが抱えており、これからも同様のことは起こり得る」。県北地方にある浪江町の仮設住宅で自治会長を務める男性は震災関連死への警戒感を示す。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から5年。避難は長期化しており、いまなお10万人に近い県民が避難生活を送っている。避難している人たちの心身両面での健康を支える対策を再点検し、関連死に歯止めをかけなければならない。

 建物の崩壊や火災、津波など震災による直接的なものではなく、避難生活による体調悪化や過労など間接的な原因で亡くなる「関連死」として県内で認定された人は2028人(4日現在)に上り、「直接死」の1604人を大きく上回る。関連死に認定される人は年々減少しているが、この1年間をみても約60人増えている。

 震災から時間がたち、復興・災害公営住宅や新しく購入した自宅に移る住民が増えている一方で、仮設住宅にとどまる人もいる。

 懸念されるのは、仮設住宅に残った人が孤立感を深めたり、再出発のために引っ越した人が新しい生活になじめずに不安を抱えたりすることだ。時間の経過とともに多様化している避難者の心や体の負担を見極め、的確に対応していくことが肝心だ。

 県は生活支援相談員による避難先への巡回を行っている。避難者らの暮らしに目を配り、関連死を防ぐ役割を担うが、楢葉町や南相馬市などでは相談員が不足した状況が続く。県は本年度、相談員を400人雇用する方針だったが実働は270人にとどまった。きめ細かく対応するためには相談員の確保を急がなければならない。

 自殺を招く恐れがあるうつ病やアルコール依存症にならないよう予防に力を入れる必要がある。そのためには避難している人たちの心理状態を小まめに把握することが欠かせない。「ふくしま心のケアセンター」の訪問活動や相談業務をフルに生かしたい。

 避難者の糖尿病や高脂血症といった生活習慣病の発症割合は、震災前よりも高くなったとの研究結果がある。保健師による巡回指導を通して、習慣的な運動を勧め、健康改善を後押ししたい。

 避難生活が長引けば長引くほど、避難者の心や体の負担は増えていく。関連死をなくすためには行政だけでなく、身近な人たちはもちろん地域全体で見守り、支え合うことが大切だ。