【3月8日付社説】震災5年 被災地の再興/希望つなぐ将来像が必要だ

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 「避難地域の復興なくして本県の復興はない」

 会見で聞かれる内堀雅雄知事の言葉を借りなくとも、原発事故に伴う避難区域の復興は、震災と原子力災害の複合災害に見舞われた本県復興の象徴といえよう。

 5年を経てもなお、避難を続けている人たちの古里への希望を断ち切らないためにも、避難区域の復興を早急に形に表していくことが重要になる。

 双葉郡8町村と南相馬、田村、飯舘、川俣の12市町村の避難区域について復興庁の有識者検討会は昨年7月、30~40年後の地域の姿を描いた「将来像」を提示し、国にその実現を提言した。

 地元市町村、県などとの議論を経てまとめた避難区域の「復興構想」との位置付けで、市町村ごとの復興計画や県や国の復興政策の土台になる構想だ。

 「ロボット産業の集積や再生可能エネルギーの導入で新産業を創出し、魅力ある産業基盤を築く」「12市町村ごとの復興拠点を核に医療や教育、交通などの公共サービスで広域連携を進める」―。

 将来像とその実現に向けた例だが、避難区域の中には、避難指示が解除され、住民が戻り始めた地域もある。来年3月には居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示がすべて解除される。

 将来構想を明確にすることと合わせ、住民の帰還を見据えて早急に実現に移す事業を絞り、具体的な計画を示すことが求められる。

 復興庁と県などは、避難区域の復興再生を新年度の重点課題に位置付け、当面の目標として2020年までの工程を示す考えだ。

 この中ではすでに動きだしている福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の具体化が検討課題に盛り込まれた。

 実現に向けた道筋を示すことも大事だが、新産業分野の構想が、地元の雇用やまちづくり、コミュニティーの形成などと、どのように結び付いていくのかも住民にとっては関心事だ。

 帰還後の暮らしに欠かせない市町村の復興拠点の整備、入院可能な2次医療体制の確保、昨年春に開校したふたば未来学園を核とした人づくりなども、急いで形に表していく必要がある。

 20年の東京五輪・パラリンピック開催を機に、避難区域の復興の姿を世界に発信できるようにすることも肝要だ。

 避難区域の将来を開く取り組みは、古里へ帰らない選択をした若い世代や子どもたちがこれから先、古里への関心を持ち続けるようにするためにも大切になる。