【3月10日付社説】震災5年 子どもと復興/希望の担い手大切に育もう

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 本県の将来を開く人づくりは復興の要だ。明日を生きる子どもたちが学びを重ね、健やかに育つ。そのための教育や健康を守る取り組みを続けていきたい。

 原発事故で避難を強いられた双葉郡の教育復興の鍵を握るのが「ふるさと創造学」。子どもたちが古里の歴史や文化、魅力を知り、現状の課題をどう解決していくかを考える授業だ。

 避難が続く同郡の小、中学校で2014年度から導入され、昨年春に広野町に開校した中高一貫校の「ふたば未来学園高」でも教育の柱に据えられている。

 「がんばっている双葉町の人たちに会いにいこう!」。昨年12月に開かれた学習成果発表会で、双葉町の小学生たちが発表したタイトルだ。

 避難先で事業再開した店舗や工場を取材した内容で、発表は「どの人も強い心で周りの人を幸せにしている。僕たちも町のためにできることをしたい」と結ばれた。

 避難という苦境にある町の現実を学び、そこから自分たちの考えを見いだそうという子どもたちの姿が、どれほど地域の復興に希望を与えてくれるだろう。

 ふたば未来学園高では、各界で活躍する著名人が応援団として名を連ね、実際に教壇にも立つ。長期にわたる復興への人づくりは、教育界の連携はもちろん社会全体で後押ししていくことが必要だ。

 双葉郡以外の地域でも、震災と原発事故を契機に、古里を見つめ直す教育の機運が高まってきた。

 放射線の問題や風評被害とどのように向き合うかといった研究活動に取り組み、成果を積極的に発信している高校生たちもいる。

 地域のつながりや活性化にアイデアをつなげようという学校もある。復興の担い手ともなり、地方創生の支え手ともなる子どもたちを大切に育みたい。

 そのためには、子どもたちの心身の健康を守る取り組みの継続と強化が不可欠だ。

 原発事故で外遊びが控えられた子どもたちに顕著に表れていた運動不足や肥満傾向は、徐々に改善されてきた。

 一方で、県内避難を続けている18歳未満の子どもの数はいまだに1万人を超えている。避難生活からくるストレスや悩み、環境の変化への目配りが欠かせない。地域が一体となって子どもたちの心のケアに手を差し伸べたい。

 県は原発事故発生時に18歳以下だった県民を対象に実施している甲状腺検査の質を高め、子どもたちの成長に応じて健康を見守る態勢を強化することが重要だ。