【3月12日付社説】震災5年 復興・創生期間/総力注ぎ前面に立ち続けよ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 復興の「総仕上げ」というならば、これからの5年間に政府が、どれほどの総力を注ぎ込むことができるかにかかる。

 政府は、東日本大震災の復興・創生期間と位置付ける2016年度から20年度までの復興基本方針を閣議決定した。

 安倍晋三首相は、被災地の自立につながる復興を目指す考えを示すが、被災地では、生活基盤の再建が途上にある中で、急激に人口の流出や高齢化が進んでいる。

 復興事業と同時に求められるのは、地方創生に向けた取り組みの強化だ。政府には、人口減少を克服するための具体策の提示が求められる。

 原発事故への対応を負った本県の復興ではなおさらだ。

 安倍首相は震災5年の会見で、常磐道の混雑区間の4車線化と、JR常磐線の全線再開時期を矢継ぎ早に打ち出した。

 常磐道については県内のいわき中央―広野インターチェンジ(IC)間26.6キロと宮城県の山元―岩沼IC間が対象で、安倍首相は4車線化を20年度末までの復興・創生期間内に実現するとした。

 JR常磐線については19年度中に全線再開を目指すとした。唯一未定だった富岡―浪江駅間の再開時期を明言したことになる。

 常磐道のいわき中央―広野IC間は、復興事業や原発の廃炉関連の作業員の通勤などで朝夕の渋滞が激しい。中間貯蔵施設への除染廃棄物の輸送が本格化すれば、さらに通行量の増加が予想される。

 常磐線が全線再開すれば、浜通りの基幹の陸路と鉄路が復旧することになる。復興の加速化につながることは間違いなさそうだ。

 復興・創生期間の終了時期と重なる20年の東京五輪・パラリンピックを見据えれば、世界に発信する復興の象徴ともなるだろう。

 ただ、被災地にとっては、そのことが復興の目標ではないことを肝に銘じなければならない。

 沿線には住民の帰還を控える避難区域がある。すでに避難指示が解除された区域を含め、沿線の地域では、若者が戻るための産業再生や雇用の確保、高齢者を支える医療や福祉、中心市街地の活性化などの課題が山積する。

 安倍首相は常磐道、常磐線の整備・再開時期を「復興・創生期間内に」「東京五輪前に」と強調したが、地域が自らの課題に交通インフラの効果を生かしていくのはその後からになる。

 復興は6年目を踏み出した。国は前面に立ち続け、地域の実情に沿った地方創生につなげる動きを加速させていくことが重要だ。