【3月15日付社説】復興庁存続検討/司令塔機能の強化が先決だ

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 政府が原発事故への対応を続けていくためには、省庁の垣根を越え人材と予算、権限を集約した司令塔をなくすわけにはいかない。

 政府は、東日本大震災の復興期間が終了する2021年3月末以降の復興庁の機能存続を検討する方針を決めた。

 復興庁は設置法によって復興期間終了と同時に廃止することが規定されている。ただ原発事故からの復興は長期化が避けられない。

 県内ではいまだに10万人近い人が避難生活を送っている。政府は来年3月までに帰還困難区域を除いて避難指示を解除する方針だが、住民避難が解消されないのはこれまでの例を見ても明らかだ。

 帰還住民の受け皿となり、生活の基盤となる避難区域の復興拠点づくりも始まったばかりの地域もあれば、計画段階の地域もある。

 避難区域の住民の生活や、なりわいの再建を支えていくには、長期的な視点が必要だ。

 県内を見渡しても、復興の足かせとなりかねない除染廃棄物の処理が進んでいない。集約保管する中間貯蔵施設の本格稼働が見通せないからだ。

 東京電力福島第1原発の廃炉までには30~40年かかるとされている。政府が復興庁の設置期限後も「復興支援態勢の維持は不可欠」と判断したのは当然といえる。

 政府は16年度からの復興基本方針で、原発事故対応については復興期間後の21年度以降も「継続して国が前面に立つ」と明記した。

 復興庁の機能存続の検討は基本方針に沿ったものといえるが、新たな支援態勢の在り方を決めるのは、基本方針の見直し時期に合わせた3年後という。

 スピード感に欠けはしまいか。支援態勢維持の検討はもちろんだが、被災地が求めたいのは並行して復興庁の現状を見直すことだ。

 これまでの復興庁の在り方をみると、被災地の要望を一元的に受けて調整するワンストップ体制や、省庁の縦割りを廃して迅速な政策決定をする機能が十分に発揮できているとは言い難い。

 被災自治体からは、要望は相変わらず担当省庁に出向く必要がある、復興庁に相談してもほかの関係省庁に同じ話をしなければならない―との声が上がる。

 政府は、被災自治体が二重の手間と無駄を強いられている現状を認識すべきだ。

 復興庁をめぐっては、本県移転や原発事故に特化した組織への衣替えなどの提案が浮上しているが、まずは復興の現状を見据え、リーダーシップを発揮する司令塔機能を強化することが重要だ。