【3月17日付社説】企業の本社機能/福島へ移転の流れつくろう

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 東京に集中している民間企業の本社を地方に移す。地方創生戦略の柱の一つだ。その流れを本県にも引き込むことが重要になる。

 県は、地方に本社機能を移転する企業への国の税制優遇制度を導入する。東京一極集中の是正策の一環として、国が地方での企業の拠点化を促す制度だ。

 制度は、東京23区から本社機能を地方に移した企業が雇用を増やしたり事務所などを開いた場合、法人税の税額控除の対象となる。

 こうしたケースは「移転型」と区別され、ほかにもともと地方にある本社機能を強化する場合の「拡充型」も、一定の税優遇が受けられる仕組みだ。

 国から制度導入に必要な認定を受けた県の計画では「移転型」の受け入れに県内56市町村、「拡充型」に54市町村の一部地域が認められた。

 本社機能としては人事や企画部門、研究や研修部門など一部でもよく、地方に新たな雇用や働く人の流れをつくり出す狙いがある。

 県は対象企業に対し、独自に地方税の法人事業税や不動産取得税を減税する考えだ。減収分は交付税で補填(ほてん)される仕組みで、県は関係条例の改正案を開会中の県議会に提出している。

 経済の動向で閉鎖や移転の恐れがある工場と比べ、本社部門が移ってくれば、撤退のリスクは小さくなるだろう。立地の優位性をアピールし県内誘致につなげたい。

 ファスナー大手のYKKグループは、富山県への本社機能の一部移転に伴い、賃貸集合住宅の整備を進めている。社員以外にも入居を広げる考えだ。

 地元にとっては、まちづくりにつながる取り組みといえる。本県でも、こうした先進事例を参考にして若い世代が働き、暮らしを充実させるアイデアを提案したい。

 東京在住者の4割が、地方への移住を検討したいと思っているとの内閣府の調査結果もある。

 情報通信技術(ICT)や県が力を入れる再生可能エネルギー、医療機器、ロボット産業の基盤を誘致に生かすことも必要だ。

 地方にとっては、企業の地方移転に若者の定着や地域経済の活性化への期待が寄せられるが、企業側には、危機管理の観点からも移転の検討を求めたい。

 東京の企業集積は世界一と言われる。上場企業約3600社の半数が東京都内に本社を置く。

 内閣府の報告で経済損失が95兆円を超えると予想される首都直下型地震を想定すれば、事業の継続性を保つ上で企業の本社機能の分散は喫緊の課題と認識すべきだ。