【3月18日付社説】北海道新幹線/柔軟発想で県内にも効果を

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 北海道新幹線は26日の開業まであと1週間に迫った。県内には停車しないため、北海道や青森県のような盛り上がりには欠けるが、広い視点で開業を捉え、本県にも開業効果をもたらしたい。

 開業するのは、新青森―新函館北斗(北海道北斗市)間約149キロ。東北新幹線と直通運転する。

 開業に向けて、県鉄道活性化対策協議会などが県内への停車をJRに求めたが実らなかった。このため開業に伴う県内への経済効果や利便性向上などの恩恵は、限定的として受け止められている。

 しかし、仙台で乗り換える不便さを考えても得られる時間短縮効果は大きく、新しい発想での新幹線活用策も研究されるなど、北に延びる新幹線の可能性は計り知れない。開業を傍観せず、本県の発展に生かす貪欲さを持ちたい。

 道南観光の中心都市・函館市へは、仙台からの所要時間が連絡電車を含めて3時間ほどと、東北新幹線と特急を乗り継ぐ現在の約4時間よりかなり短縮される。県内からは仙台までの時間を加味すればいいだけだ。

 本県など東北と道南のアクセス向上は、両地域の交流人口や経済活動の拡大だけにとどまらない。函館市の年間観光客は約500万人。さらにいまや全国で約2千万人に及ぶ外国人旅行者の約10人に1人は北海道を訪れるとされる。

 北海道新幹線の開業により、これまで道内で完結していた旅行者の流れが東北に向かうことが期待される。県内に同新幹線は止まらないが、仙台からバスや車を利用して県内を訪ね温泉やスキーを楽しんだ後、他県や空港に向かう周遊ルートを描くこともできる。

 北海道新幹線を旅客だけではなく、医療や物流にも使ってはどうか―との提案が、北海道東北地域総合研究所(ほくとう総研)などでつくる「新幹線ほくとう連携研究会」からなされている。

 例えば、新幹線内に救急ベッドを置く場所を設ければ盛岡、仙台、福島などで超広域の2次救急圏が形成できるとする。薬剤や医療資材の輸送であればスペースはさらに少なくてすむ。人口減少で迫られる医療資源の集約にも役立つとの発想だ。研究会では函館からイカなどの海産物を新幹線で運ぶというアイデアも出された。

 ほくとう総研の横川憲人専務は「法制や採算など課題は多々あるが、視点を変えてインフラを使う発想は有意義だと思う」と話す。旧来の発想のままでは地方創生は難しい。立て直しが迫られる福島空港を含めて県内交通網の利活用策を再構築する契機にもしたい。