【3月20日付社説】県教委が宇宙教育/苦手克服の切り札になるか

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 宇宙をテーマにした教育を通して子どもたちの科学への関心を高め、本県教育の課題である理数系科目の学力向上につなげたい。

 県教委は、宇宙開発や天文学などを学ぶ「宇宙教育」の充実を目指し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センターと25日に連携協定を結ぶ。

 同センターは、JAXAが宇宙開発で得た科学分野などの研究成果を教育に生かそうと2005年に設立。自治体や教育機関と「地域連携拠点」の協定を結び、授業で使う教材の開発や研究者の派遣授業、教員研修などを行っている。

 国や県の学力調査で、本県の小中学生は算数・数学と理科が苦手という結果が出ている。そのため県教委は、子どもたちが宇宙について学ぶ中で科学的なものの見方や考え方を育み、ひいては理数系の学力向上につなげたい考えだ。

 小惑星探査機「はやぶさ」や、金星探査機「あかつき」の活躍、「重力波」の初観測など、宇宙を取り巻く話題は多い。子どもたちが興味を持ち、自ら学ぼうという意欲を引き出すために宇宙は格好の素材だと言えよう。

 先行する地域連携拠点では、学生が惑星探査ロボットの動きをプログラムして校庭を走らせたり、宇宙飛行士のトレーニング体験など特色ある授業が行われている。

 県内ではJAXA職員から最先端の宇宙開発について話を聞いたり、センターが開発した教材を用いた授業などに取り組む計画だ。

 宇宙教育は、理数系はもとより、環境教育や外国語など幅広い分野に関連する。教科・科目を横断した学習を通し、子どもの応用力や課題解決力も伸ばしたい。

 県は、「はやぶさ」の開発者たちの姿から「諦めない心」の大切さを学んだり、国際宇宙ステーションでのストレス解消法を体験する授業も検討している。学力に加え、子どもたちの生きる力を育むことにもつながる授業を展開してほしい。

 県は、航空宇宙産業の集積を再生可能エネルギー、医療機器、ロボットに続く本県産業再生の柱に据えている。新たな重点産業として位置付け、県内への産業集積を進める。宇宙教育を通して宇宙産業を担う人材を確保し、技術の継承に生かしたい。

 宇宙教育が成果を挙げるためには、授業の質を高めることが重要だ。県教委は5月に、教員らを対象にしたフォーラムを開き、宇宙教育の進め方について考える。児童生徒の苦手科目克服への新たな試みが実を結ぶためにも積極的な意見交換を行うよう求めたい。