【3月24日付社説】公示地価/地方創生で持続的な回復を

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 地域経済の発展と復興を進めるためには、持続的な地価の回復を支えていくことが不可欠だ。

 国土交通省が発表した公示地価(1月1日現在)で、本県の住宅地の上昇率が、2年連続で全国最高となった。

 震災と原発事故に伴う移転需要が引き続き地価の上昇を招いている格好だが、上昇の伸びは鈍化してきた。復興需要の先を見据えた地域活性化やまちづくりなどの効果的な対策が重要になる。

 公示地価は土地取引の目安とされ、人口の動きや景気を映し出す「鏡」とも例えられる。

 住宅地の場合、転入によって人口が増えた地域では住宅や土地を買い求めようという需要が生じ、地価は上昇する。逆に人口が減り続けている地域では、地価の下落が続くことになる。

 本県では2014(平成26)年に下落から上昇に転じた。震災と原発事故の避難者が多い都市部を中心に地価が上がり、県平均を押し上げた形だ。

 平均上昇率は14年の1.2%から15年には2.9%に上がり、今年は前年と同じ2.9%。前年と同様、避難者が集中しているいわき市で高い上昇率(6.9%)を示しているが、伸び幅は前年の7.3%から縮小した。

 地価の伸びの鈍化は、避難住民や被災者の住宅需要が高止まりになり落ち着き始めた表れだろう。

 移転需要に伴う地価の上昇は、いわき市以外の浜通りの市町や、中通りの都市部とその周辺地域にも広がりを見せている。


 ただ、いわき市と同様、被災者の住宅再建が進むにつれ、いずれ落ち着いてくるのは明らかだ。

 移転需要が一巡した後、地域経済が一気に落ち込まないよう、今から手だてを講じる必要がある。

 それにはまず、地域が地方創生の取り組みを強めることだ。被災者の移転需要は限られている。県内では、それ以上に若者の流出や過疎が深刻な地域も多い。

 人口減少対策に本腰を入れ、活気のあるまちづくりを進めることで適正な地価を維持したい。

 もちろん復興関連以外の需要の喚起も必要だ。県内の商業地では地価の上昇が都市部にとどまっているが、全国では、訪日外国人の観光客でにぎわう地方で地価が上昇したところもある。

 交流人口を増やし、観光業や小売業など地域に根差した業種にも波及効果を広げたい。

 そのために国に求めたいのは、東京一極集中の是正を急ぎ、経済再生の成果を地方の隅々まで行き渡らせることだ。