【3月29日付社説】中間貯蔵の工程/総力結集し確実に実現せよ

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 体裁を取り繕うための工程の作成であってはならない。後から「見通しが甘かった」とならないよう、政府には工程を確実に実現させていくことを求めたい。

 県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設について環境省は、用地の取得見通しと、施設への輸送見通しを盛り込んだ工程表をまとめた。

 工程表では2020年度までに大熊、双葉両町の建設予定面積1600ヘクタールのうち640~1150ヘクタールの用地を取得できるとの見通しが示された。

 全体の4割から7割に相当する面積だ。工程通りに進めば、最大2200万立方メートルとされる汚染土壌のうちの2割から6割に相当する500万~1250万立方メートルを搬入できるとした。

 市町村の仮置き場などに計1000万立方メートルが保管されたままの現状からすれば、あと5年かかるというのはスピード感に欠けるが、環境省が用地取得や搬入の具体的な工程表を示したのは初めてだ。

 市町村にとっては、仮置きをいつまで続ければよいのかが見通せるようになる。周辺の避難区域の住民にとっては、古里への帰還の判断材料にもなる。

 このことを環境省は、重く受け止めなければならない。工程の実効性をいかに上げるかが問われると、肝に銘じるべきだ。

 用地の取得は難航したままだ。契約済みの用地は2月末時点で約18.5ヘクタールで、全体の約1%にすぎない。地元からすれば、不透明感がぬぐえないのが現状だろう。

 環境省は2365人に上る地権者の4割が補償額算定の調査に同意していることや、公有地が一定程度含まれていることから工程表の実現は可能とみている。新年度から職員を増強し、用地交渉を加速させる考えも示している。

 ただ、疑問に残るのは今回の工程表では用地の完全取得や施設への搬入完了時期が見えない点だ。20年度までの計画を掲げても、それは途中経過にすぎない。

 20年度は政府が定めた復興・創生期間の最終年度であると同時に、東京五輪・パラリンピックの開催年度でもある。

 政府は同期間内の復興基本方針に施設整備を明記し、与党からは東京五輪までに汚染土壌の「相当部分」施設に搬入するよう求める声が上がっていた。

 こうした背景から工程表がまとめられたとすれば、環境省の主体性はどこにあるのかと言わざるを得ない。求めたいのは、政府が総力を挙げ、いち早く施設を本格稼働させることだ。