【3月30日付社説】新エネ社会構想/「地産地消」実現の切り札に

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 2040年をめどに県内需要の100%に当たる再生可能エネルギーをつくるという県の目標を達成するために構想の具体化と事業化を着実に進めてもらいたい。

 新エネルギーの開発や普及について、国や県、関連企業など官民で話し合う「福島新エネ社会構想実現会議」が発足した。

 新エネを含む再生エネの推進は本県復興の要である。同会議は文字通り構想の実現を後押しするとともに、全国のモデルをつくるという使命を持つ。本県が新エネの先進地となるよう強いリーダーシップを発揮してほしい。

 構想は、〈1〉水素社会実現のモデル構築〈2〉再生エネの導入拡大〈3〉スマートコミュニティー創出―を3本柱にしている。

 この中でまず注目されるのは水素社会の実現だろう。安倍晋三首相は今月初旬に県内を訪れた際、構想実現会議の設置と併せて、本県を水素エネルギーの一大生産地とする考えを表明した。

 水素は燃焼しても二酸化炭素(CO2)を出さない環境にやさしいエネルギーだ。しかし現在は水素を作る段階で石油を使うケースが多くCO2が発生している。

 構想では、風力など再生エネを活用した水素の製造から、貯蔵、輸送、利用までのサイクルを構築する。CO2を出さない水素製造技術が確立されれば水素の普及に弾みがつくはずだ。ぜひとも実現させてほしい。

 同会議は、20年までに県内で燃料電池自動車1万台分に当たる水素の製造を目指す。その水素は東京五輪・パラリンピックの選手村でも活用する方針だ。新エネ活用による「県産水素」で、本県の復興を世界にアピールし、実感してもらう好機としたい。

 「再生エネの導入拡大」では、風力発電に適した阿武隈山地や沿岸部での発電量を増やすことができるよう首都圏への送電網の早期整備を目指すことが提案された。

 また「スマートコミュニティー創出」は、新地、楢葉両町で復興に向けたまちづくりと並行して実証試験を行う。両町の経験を生かし、成果を全県に拡大していくことを視野に入れている。

 県内需要の全てを再生エネで賄うためには、県内各地で再生エネの「地産地消」体制をつくり、地域の活性化や地方創生に役立てていく姿勢が求められる。

 実現会議は今後、6月ごろまでに骨子をつくり、夏には具体的な構想をまとめる予定だ。できるだけ多くの事業を17年度予算案の概算要求に盛り込み、同年度から着手できるようにしてほしい。