【4月1日付社説】新社会人の君へ/新しい福島の原動力になれ

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 期待と不安が混じり合う朝を迎えたのではないか。社会人ならば必ず迎えたことがある高揚感と緊張感に満ちあふれた朝である。

 フランスの思想家ルソーは言う。「人間にとって二つの誕生がある、一つはこの世に現れた誕生、もう一つは仕事を始める誕生である」と。言葉に従えば、社会へと歩み出す君たちはきょう、新たな誕生を遂げることになる。まずはおめでとうの言葉を贈りたい。

 「これまでに壁に突き当たった経験があれば話してください」。採用試験の面接で聞かれたことがあったのではないか。入試やサークル活動でのつらい体験もあるだろうが、アルバイト先での苦労を話した人も多かったことと思う。

 でもそのアルバイト先では、学生だからと大目に見られたようなことはなかっただろうか。これからはそんな甘えは許されないことになる。学生と社会人との違いを認識し、社会人としての自覚を持つことから始めたい。

 そんなに難しく考えなくてもいい。はじめは元気にあいさつをして、時間を守り、他人を不快にさせないような身だしなみを心掛ければ大丈夫だ。それから仕事を着実に覚えていけばいい。

 自信を持って走り出そう。若い君たちだからこその感性や柔軟性、そして積極的な姿勢で、これから待ち受けるハードルを力強く乗り越えていってもらいたい。

 福島県は、東日本大震災と原発事故から復興の途中にある。震災は大勢の人々に困難をもたらしたが、震災がきっかけでふるさとの未来のために尽くしたいという若者たちが増えたことを頼もしく思う。新しい福島をつくるための原動力となることを期待したい。

 復興はこれからが正念場だ。5年たったいまも10万人近い人たちが避難生活を続け、根強い風評に悩む業種もたくさんある。直面するのは復興だけではない。人口減少問題への対応も待ったなしだ。

 でも悲観してはいられない。すでに数々のプランが動きだし、先輩たちが敷いてくれたレールもある。ただ、そのレールを延ばし、復興と地方創生に向かって列車を走らせていくのは君たちの仕事であることを忘れないでほしい。

 国の調査によれば、大卒の3割強、高卒の4割が就職後3年以内に仕事を辞めている。転職という選択肢も確かにあるが、3日、30日、3カ月、3年と、節目を一つずつ踏みしめ、前に進むことで、大きな展望が開けることを胸に刻んでほしい。努力の数が多いほど得られる喜びも大きいはずだ。実感できる日はきっとやって来る。