【4月2日付社説】凍土壁の凍結開始/汚染水これからが正念場だ

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 東京電力福島第1原発の廃炉に向けた重要なステップだ。

 政府と東電が、汚染水対策の切り札としている「凍土遮水壁」の地盤凍結が始まった。

 全面凍結できれば、汚染水の発生を減らし、外部に漏らさないための対策が出そろうことになる。

 政府と東電はこれからが正念場と肝に銘じ、着実に対策の効果を上げていかなくてはならない。

 事故を起こした1~4号機を取り囲むように地盤を凍らせて壁をつくり、溶け落ちた燃料が残る建屋への地下水流入を防ごうというのが凍土遮水壁だ。

 東電は、原子力規制委員会から認可された海側全面と山側の95%を3カ月あまりかけて凍らせる。残りの部分は規制委の認可が得られてからになるが、本年度中に全体の凍結完了を目指す考えだ。

 第1原発には1日約400トンの地下水が流入し汚染水となっていた。汚染水の発生を抑えるためには、地下水を汚染源に触れさせないことが必要だ。

 政府と東電は、地下水の流れを変える地下水バイパス計画、建屋周辺の井戸(サブドレン)から地下水をくみ上げるサブドレン計画などを実行に移してきた。

 凍土遮水壁は、総延長約1.5キロにわたる氷の壁で地下水の流れを遮断するという世界にも例のない取り組みになる。

 ほかの計画と合わせ、政府と東電が構想を立てた重層的な対策が組み上がることになり、全面凍結が完了すれば、建屋への地下水の流入量が現在の日量百数トンから50トンに減らせるという。

 ただ、実際の運用には未知数の部分がある。その一つが地下水の水位をいかに安定的に保つかだ。

 凍土遮水壁によって建屋周囲の地下水の水位が下がり過ぎると、建屋内にたまっている汚染水の水位と逆転し、汚染水が地中に漏れ出す恐れが指摘されてきた。

 規制委が認可に慎重な態度を見せ審査が長期化してきたのがこの点だ。運用に当たる東電は水位の監視と管理を徹底し、安全の確保に万全を期さなければならない。

 汚染水の発生要因となる地下水の流入抑制対策が整ったとしても汚染水対策にはまだ課題が残る。

 汚染水を浄化した後の処理水の保管問題だ。除去し切れないトリチウムが含まれるため、現状では原発構内の地上タンクに保管し続けるしかない。

 いずれタンクの増設場所もなくなる。政府と東電は、科学的な観点からどのように処分すればいいのか検討を続け、早急に解決の道筋を示すべきだ。