【4月5日付社説】コメ輸出産地育成/多様な戦略で農業に活路を

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 農業の活路を開くためにはさまざまな「攻めの農業」戦略を次々に展開していくことが求められる。

 全国農業協同組合連合会(JA全農)が、環太平洋連携協定(TPP)の発効などをにらんで、輸出用のコメ産地の育成に乗り出す方針を固めた。

 2016年産から本県など9県程度で、収穫量の多い品種を栽培することでコストを削減する取り組みを行う。これまでの品種より価格を抑えて競争力を強め、アジアや欧州に輸出する考えだ。

 コメの国内市場が頭打ちとなる中、TPPによる海外の安いコメとの競合が懸念されるが、全農の取り組みは逆に海外に打って出るという計画。新たな需要の掘り起こしなど課題はあるが、農業の生き残りをかけた一つの方策として成果を上げるよう期待したい。

 日本のコメは高品質だが、価格の高さが輸出拡大のネックとして指摘されてきた。しかも香港などでは日本のブランド米同士の産地間競争も激しくなっている。

 産地が共倒れを避けながら輸出を拡大していくためには、高級料理店や富裕層向けだけでなく、一般向けのレストランなどにも販売対象を広げることが必要だ。

 JA全農は昨年、本県と宮城県の生産者に協力を求め、多収品種の試験栽培を行った。肥料の量を増やすなど栽培方法も工夫した結果、収量は全国平均を2~3割上回り、生産コストは3~4割削減することができた。

 こうした結果を受け、16年産から産地を広げて本格的な取り組みに着手する方針だ。各都道府県の全農本部や地域農協を通じて生産者に参加を呼び掛けており、作付面積は大幅に拡大する見込みだ。

 県内では喜多方市で試験栽培が行われた。JA会津よつばによると、栽培品種は収量と食味に優れる県オリジナル品種「天のつぶ」。16年産は昨年の10倍に当たる2ヘクタールに拡大し、本格生産に乗り出す。全農県本部は喜多方での実績を踏まえ全県への拡大を目指す。

 県の調べによると、県産米の輸出は、10年度が香港などに100トン余あったが、東日本大震災と原発事故後は風評や各国の輸入規制などでストップ。その後、14年度にシンガポール約300キロ、15年度はマレーシアに約12トンが輸出されるなど本県の安全対策への取り組みは徐々に理解されつつある。

 18年には生産調整(減反)の廃止も控えている。農家が安心して生産に取り組むことができるような経営安定策の強化は急務だ。県産米の輸出を本県の農業再生の一つの柱になるよう育てたい。