【4月9日付社説】中間貯蔵施設/遅いとの住民感覚重んじよ

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 環境省には、いまさらながら、もう少し早く、何とかならないものか、と言いたい。

 県内の除染で出た汚染土壌などの廃棄物を保管する中間貯蔵施設の件だ。井上信治副大臣が、今月18日にも、施設予定地への「本格輸送」を始めると発表した。

 震災と原発事故から5年が過ぎてようやく、県内の市町村に仮置きされたままの除染廃棄物の搬出が本格化する―とは思えない。

 仮に環境省が見込む工程表通りに進んだとしても、これから5年の間に搬入される除染廃棄物の量は県内で見込まれる最大2200万立方メートルの2割から5割程度だ。

 5年後は原発事故から10年になる。やはり、あまりに遅い。

 汚染土を入れた袋が野積みされたままの古里の光景は元に戻るのか、いつまで風評にさらされるのかなどと、不安を抱えながら暮らしている住民にとっては、長い5年であり10年だ。

 それは本県が復興へと向かう時間の経過でもある。環境省ばかりでなく政府は、住民の暮らしや本県の復興の時間軸を重んじなければならない。

 政府が一丸となり、工程表に書き込まれた計画時期の数字を少しでも減らし、工程を前倒ししていく取り組みを強く求めたい。

 中間貯蔵施設整備の現状は厳しいままだ。工程表にある5年後の施設への搬入見込み量に全体の2~5割と幅があるのは、用地取得の見通しが固まらないためだ。取得を見込む用地の面積は計画の4~7割とされこちらも幅がある。

 環境省が本格輸送に乗り出したとしても、搬入が工程通りに進むかどうかは、用地の取得状況に掛かっているというのが現状だ。

 環境省は用地の取得状況に応じて段階的に搬入量を増やす考えだが、肝心の用地交渉を滞らせては工程が前に進まない。

 環境省は、3月末時点で全地権者の半数超と、補償額算定のための調査に同意したとしている。施設の予定面積の約6割が、交渉の対象になる計算だ。

 ただ、これまでの交渉では算定調査が終わっても、地権者に対し具体的な補償額の回答が遅れているとの指摘が根強い。地権者にとっては、本格搬入の実施よりも、交渉進展が先決だということを忘れてはならない。

 地権者が生存していなかったり権利関係が複雑なケースなどにスムーズな手続きができるような制度の検討も進めるべきだ。

 土地取引に関する専門的な知識を持った民間の協力を得ることも必要だろう。