【4月10日付社説】県内春らんまん/「花の王国」を守り育てよう

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〈世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし〉

 平安時代の歌人・在原業平は、桜の開花を心待ちにしたり、少しでも長く咲いていてほしいと願う気持ちを歌に詠んだ。桜の開花が大きな関心事であるのは昔も今も変わらない。

 県内の桜前線は2年続けて駆け足だ。県内は春らんまんとなり、桜の名所は大勢の人々でにぎわっている。桜をはじめ美しく咲き誇る花々は本県の宝であり、その花々が咲く風景は古里の象徴だ。県民が力を合わせて「花の王国ふくしま」を守り育てていきたい。

 県内の桜の名所は数え切れないほどある。その中でも代表的な桜の名所である三春滝桜(三春町)や、花見山公園(福島市)は満開となって花見客や観光客らを出迎え、目を楽しませている。

 今年は暖冬傾向だった上、3月に気温の高い日が続いたため、桜の開花が早まった。福島市のソメイヨシノの開花日は3月30日、満開は4月3日で、それぞれ平年より10日、昨年より3日早かった。

 本県は県土が広く、地域によって気候が少しずつ違う。桜前線は例年、いわきからスタートし、いったん県北に飛んだあと南下、その後に会津に入るコースをたどるため、約1カ月間にわたって桜を楽しめるのが特徴だ。

 ただ、今年は開花が早かったため、花見の期間が前倒しになってきている。遅咲きの桜の名所として知られる猪苗代町の観音寺川では例年、5月の大型連休に見ごろを迎えるが、地元の観光協会によれば、今年は1週間から10日ほど早い開花が見込まれ気をもんでいる。

 開花時期が前倒しになっているのは会津地方に限らず全体的な傾向だ。例年の開花シーズンに合わせて来県を計画している観光客もいるだろう。さまざまな趣向を凝らし、最大限のもてなしで迎えたい。

 原発事故の影響で帰還困難区域になっている富岡町の桜の名所、夜の森公園前では今年も桜が咲き「桜のトンネル」が空を覆った。町の一部では花見時期に合わせ特例宿泊も行われている。町民のシンボルを大切に守っていきたい。