【4月12日付社説】避難事業者の自立/まち再生へ好循環生み出せ

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 東京電力福島第1原発事故で避難している商工業者らの事業再開への意欲が失(う)せないうちに、障害となっている要因の解消に努め、事業者の自立を後押ししていかなければならない。

 原発事故で避難指示が出た12市町村の事業者支援に昨年8月から取り組んでいる「福島相双復興官民合同チーム」は、3月末までに訪問した約3500事業者の意向調査の結果を発表した。

 結果を大まかに説明すると、避難先を含めて事業を再開したのは48%で、休業中は45%。再開した事業所の内訳は地元が20%で、避難先が28%。さらに事業の再開状況にかかわらず地元での事業再開や継続を希望する事業者は43%という具合だった。

 大震災と原発事故から5年1カ月が過ぎた。事業者が決断を下すためには、古里の避難指示がどうなるのか、客や働き手はいるのかなど、さまざまな判断材料を見定めなければならないだろう。事業者の苦悩や迷いを受け止めて、確実に対応していくことが重要だ。

 実際、合同チームの訪問に対して、事業者からは「再開した後に、経営努力しても、帰還住民が増えないと事業継続は難しい」「実際に戻って商圏が回復できるのか分からない」などという声が寄せられたという。

 住民が古里に帰還するためには、日々の暮らしや雇用を支える商店や医療機関など、さまざまな事業所の存在が欠かせない。一方で、事業の継続のためには住民の帰還が必要になる。「住民帰還」と「事業再開・継続」の双方が良い循環を生み出すよう潤滑油となる施策を講じなければならない。

 合同チームは、訪問結果を踏まえて作成したという支援策を示した。相談支援体制の強化や人材確保・設備投資・販路開拓の各支援策などを柱にする。これらのメニューを効果あるものにしていくためにはチーム内での専門家同士の連携や協力が鍵を握るだろう。施策に不足があれば柔軟に対応してもらいたい。

 本県の経済再生のためには12市町村の事業者をしっかり支えていかなければならない。既に再開している事業者に対しては事業継続のための助言を、再開を望む事業者に対しては再開へのコンサルティングを徹底する必要がある。

 県産業復興相談センター(福島市)はきのう、いわき事務所を開所した。同センターは「金融調整」に強みを持ち、開設後4年半にわたる蓄積もある。合同チームと連絡を取りながら事業者の支援を着実に進めてもらいたい。